TOP > 賞与をめぐる諸問題  (労務情報NO.103)

 

賞与をめぐる諸問題 平成14年11月25日 発行

 現在ではほとんどの企業で年2回程度の賞与を支給するのが通例となっていますが、支給に関して労使間でのトラブルがあとを断ちません。今月号では年俸制における賞与の取り扱い上の注意点、支給対象を支給日在籍者に限定できるのか、など賞与の取り扱いについて具体的な事例を交えて解説します。

 

1.年俸制の場合の「賞与」の取り扱い

『賞与』… 定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されて
       いないもの(定期的に支給され、支給額が確定しているものは、名称に関わらず賞与とはみなされない)

具体的事例 解説
年俸額が480万円で、毎月の賃金額を480万円の16分の1の30万円、賞与として夏と冬に60万円ずつ支給する場合。 賞与の額はあらかじめ確定していることになり、賞与分も含めた年俸額全額の12分の1の額である40万円をベースに平均賃金・割増賃金を算定することになります。
年俸額決定時点では、賞与分にかかる全体の総支給額のみを決定し、具体的な支給額は算定対象期間における勤務実績により個別に決定する場合。(個々の社員には賞与の標準支給額を明示するにとどめる) 年俸額決定時点では各人の具体的な支給額が決定されていないため、労働基準法上の「賞与」とみなされ、平均賃金・割増賃金などの算定基礎となる賃金に含まれないことになります。

2. 賞与支給対象を支給日在籍者に限定できるのか

⇒ 結論から言いますと、就業規則に定めがある場合や、確立した労使慣行がある場合には限定することは可能です。 ただし、どのような場合でも支給日在籍条件の適用が認められるわけではありません。支給日が例年よりも遅れたために、 例年の支給日には在籍していたが、実際の支給日前に退職してしまった場合などは支給日在籍条件の適用は認められない ので注意が必要です。

認められる場合(支給日が会社の都合で遅れた場合を除く) 認められない場合
自らの意思で退職日を選択できる自己都合退職者 支給日前に整理解雇された者
自己の非違行為により解雇された者 支給日前に定年退職した者

3. 賞与算定期間中の育児休業・介護休業取得者の取り扱いは

< 違法となり、法律上無効とされる取り扱い >
  • 育児・介護休業の請求や取得を理由に、賞与の算定対象期間中の勤務実績に関係なく賞与の全額を不支給としたり、休業期間を超える減額を行うこと
  • 賞与の算定対象期間中の出勤率が90%以上あることを賞与の支給条件とし、その期間の一部に産前産後休業や育児  短時間勤務を取得したことにより支給条件を満たせなくなった者に対し、全額不支給とすることなど
< 合法的な取り扱い >
  • 実際に育児・介護休業を取得した期間を日割りで控除するなど、ノーワーク・ノーペイの原則の範囲内で減額すること
  • 労使協議のうえ、通常どおり出勤したものとして取り扱うこと

4. 賞与からも欠勤控除できるのか

⇒ 結論から言いますと、ノーワーク・ノーペイの原則を超えない範囲内での減額は、それがその会社の賞与の支給条件 として就業規則などで定めてある場合は可能と言えます。(欠勤1日につき、1日÷賞与の算定対象期間中の全労働日に相当する額をカットするなど)
そのような場合において、例えば賞与の算定対象期間を6ヶ月とし、期間中の全労働日が120日、欠勤日が5日あった場合に、賞与を120分の5だけ不支給とすることも可能です。 ただし、毎月の賃金からの欠勤控除と同様に、ノーワーク・ノーペイの原則を超える減額は違法となる場合がありますので注意が必要です。(数日の欠勤で賞与を全額支給しないなど)

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