TOP > 未払い賃金の法律上の取扱い (労務情報NO.114)

 

未払い賃金の法律上の取扱い 平成15年10月25日 発行

あらかじめ雇用契約や就業規則で決められた賃金を会社が支給日に支払わない場合、その会社は労働基準法に違反することになります。この賃金には、支給条件が明確に定められている退職金も含まれます。今月号では賃金や退職金を支払えない場合に、社員や元社員に対してどのような保護があるのか、会社が倒産した場合の賃金の優先順位はどうなっているのか、等を解説いたします。

 

1. 社員(元社員)に対する保護

(1)会社は退職した社員に支払う賃金のうち、退職の日(支払日が退職後の場合には、その支払日)までに支払わなかった部分
    について、年14.6%の遅延利息を支払わなければならないことになっています。この利息がつく賃金には、退職金は含ま
    れませんが、賞与は含まれます。
(2)労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業である会社で、事業実績が1年以上ある会社が倒産した場合、賃金を
    支払ってもらえないまま退職した社員を対象に、国が未払い賃金の立替払い事業を行っています。
(3)確実に退職金を支払えるようにすることを目的として、退職金の一定割合について金融機関の支払保証を受けるなどの
    保全措置を講じる努力義務が会社に課せられています。

 

2.倒産手続きに入った場合の賃金の優先順位

会社が倒産した場合でも、賃金を支払う義務がなくなるわけではありません。それぞれの法律に定められた債権の優先順位や手続に従って債務の弁済が行われます。その際、会社に残された財産の状況によっては、賃金の支払いが遅れたり、カットされたりする可能性もあります。(破たん処理の方法によって優先順位が大きく異なります)

 

※上に行くほど優先順位が高くなります。※太字部分が賃金です。
法律上の倒産手続き 任意整理
破産 民事再生 会社更生
抵当権等の被担保債権 抵当権等の被担保債権 管財人の報酬等
手続き開始前6ヶ月間の賃金等
納期の来ていない税金
抵当権などの被担保債権
(法定納期期限以前からあるもの)
管財人の報酬等、税金 管財人の報酬等 抵当権などの被担保債権 税金
一般先取特権のある
賃金等
一般先取特権のある
賃金等
、税金
上記以外で一般先取特権の
ある賃金等
、税金
抵当権などの被担保債権
(法定納期期限以前からあるもの)
その他の賃金等
一般の債権
その他の賃金等
一般の債権
その他の賃金等
一般の債権
一般先取特権のある賃金等
その他の賃金等
一般の債権
※一般先取特権とは、差し押さえ等により優先的に支払いをしてもらえる担保が与えられている権利です。一般先取特権のある賃金とは定期的な賃金(賞与は含みません)および退職金の全額です。
※「その他の賃金など」とは賞与、福利厚生的な賃金、臨時的・恩恵的な賃金のことをさします。

3.未払い賃金の立替払い制度

(1)未払い賃金の立替払いの対象となる社員(元社員)
倒産日の6ヶ月前の日から2年間に退職した社員
(2)立替払いの対象となる未払い賃金の範囲
定期的な賃金(残業代は含む、賞与は除く)及び退職金の未払い総額の80%
ただし、退職日の年齢により上限額が以下のように決められています。
上限額 実際に立替払いされる金額の上限額
30歳未満 110万円 × 80% = 88万円
30歳以上45歳未満 220万円 176万円
45歳以上 370万円 296万円

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