TOP > 私傷病休職制度の適切な運用 (労務情報NO.134)

 

私傷病休職制度の適切な運用 平成17年6月25日 発行

 多くの会社で、私傷病休職制度を取り入れていますが、誤った運用方法により労使間でのいざこざが生じるケースが多いようです。裁判に発展するケースも多く、その運用には注意が必要です。そこで、今月号では、私傷病休職制度の適切な運用について、Q&A方式で具体的な事例を交えて解説します。

【 私傷病休職制度とは 】
⇒私傷病休職制度とは、社員が個人的な事由により私傷病を患い一時的に労務不能となった場合に即解雇するのではなく、その社員の身分を維持したまま一定期間に限り、その社員の労働義務を免除し、さらに、雇用契約を解除しないという制度です。労務不能となった社員が休職期間中に健康を取り戻し、再び、復職するチャンスを与えるのが、この制度の趣旨ともいえます。なお、労働基準法には、私傷病休職制度に関しての規定はいっさいありませんので、就業規則等に自由に定めておくことができます。

Case 1 A課長は、会社の経営状態の悪化から、社員Bの休職願いを受け入れずに、Bの休職を適用しないこととした。A課長の会社では、欠勤が3ヶ月以上継続した場合に、勤続年数に従って6ヶ月〜1年6ヶ月の休職を与える私傷病休職制度を導入している。Bは勤続年数が3年を超えているので、1年の休職の対象となっていた。A課長のように、労務不能となったBに休職を与えずに解雇することは可能なのだろうか?
Answer1 私傷病休職制度は任意で実施されるものなので、制度の内容は労使間で自由に取り決めることができます。しかし、労働基準法により、制度を実施する場合は就業規則にその内容を記載することを義務づけています。一度、制度を実施してしまいますと、労働契約上の労働条件として労使双方を拘束することになりますので、会社の都合による任意の運用は許されないことになります。判例でも、就業規則に定めた休職事由に該当する社員に対しては、即解雇することは許されない趣旨であるとし、就業規則に準じた制度の運用を行うことが望ましいとされています。

Case 2 休職期間満了を翌月に控えた社員Cは、現場には復帰できないが、間接部門の仕事ならできるので復職させてほしいとD人事課長に訴えた。しかし、D人事課長は、原職に戻れないのならば復職は認められないとCの訴えを退けた。休職期間満了後に原職復帰は無理でも他の業務を行なえる場合、復職は認められないのだろうか?
Answer2 私傷病休職制度の趣旨は、労務不能となった社員が休職期間中に健康を取り戻し、復職できるチャンスを与える    ことにありますので、休職期間満了時に労務に服せる状態に症状が回復しているならば、その社員を復職させなければなりません。労務の提供が行えるぐらい症状が回復していると判断されれば、休職事由が消滅したとみなされます。最高裁でも、職種限定の労働契約を締結していない場合は、原職に復帰できなくても他の業務に関して労務の提供を行なうことができ、かつ、本人がその業務への就労を希望している場合は、復職可能な状態にあると判断しています。

Case 3 交通事故によって入院することになったE子は、休職制度が適用されることとなった。しかし、E子のお見舞いに来ていた同僚たちが、F看護師から休職期間中は賃金がもらえない上に、健康保険などの社会保険も支払わなければならないと聞かされ怒りを顕わにし、E子もため息をつくほどのショックだったようだ。では、休職期間中の賃金や社会保険の扱いはどのようになっているのだろうか?
Answer3 私傷病休職制度は、会社が独自に定める任意のものなので、休職期間中に賃金が支払われるかどうかや休職期間が退職金算定の基礎となる勤続年数に算入されるかどうかは、労使間で自由に決められます。私傷病休職期間は、私傷病という個人的な事由によるものなので、この期間に、会社が賃金を支払う義務はありません。健康保険の被保険者なら、労務不能の期間については、継続した3日の待期期間を経た後に、傷病手当金が支給されます。支給期間は、支給が開始された日から起算して1年6ヶ月を限度としています。また、休職していても、社会保険の適用はしなければなりません。賃金が支払われていないのであれば、労災保険と雇用保険の保険料は徴収されませんが、健康保険、介護保険と厚生年金の保険料に関しては徴収されます。

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