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出勤停止命令に関するQ&A
平成18年1月25日 発行

会社が社員からの労務提供を拒み、一時的に就労を禁止することを出勤停止といいます。出勤停止には、業務命令による場合、懲戒処分による場合、法令に基づく場合がありますが、今月号では業務命令による出勤停止について「どのような場合に会社は出勤停止命令を出せるのか」、 「出勤停止中の賃金は支払う必要があるのか」などの疑問をQ&A方式で解説します。

  出勤停止命令の種類

[1] 業務命令としての出勤停止
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就業規則などによる根拠は不要。ただし、社会通念上著しく妥当性を欠くなど権利の濫用とされる場合や違法、
            不当な目的とみなされる場合は無効とされる。 原則として賃金または休業手当の支払いが必要。
[2] 懲戒処分としての出勤停止
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就業規則、労働協約、労働契約のいずれかに根拠となる規定が必要。賃金または休業手当の支払いが不要。
[3] 法令に基づく出勤停止
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病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾患にかかった場合や心臓、腎臓、肺などの疾病で労働により病勢が著しく
悪化するおそれのあるものにかかった場合、またはこれらに準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった
場合で産業医その他の専門医の意見を聞いたうえで法令遵守のためにおこなう出勤停止。 賃金または
休業手当の支払いが不要。
  
    以下、ケースごとにQ&A方式にて解説します。

Q1.
記録的な大雪で自宅待機を命令する場合の賃金は支払う必要があるのか。
Q3.
営業不振により一時的に休業する期間中も「使用者の責に帰すべき事由による休業」とされ、休業手当を支払わなければならないのか。
A.
天災地変その他の不可抗力により、やむを得ず休業する場合は賃金や休業手当を支払う義務はありません。 ただし、天災地変が契機となった場合でも、経営者が最大の努力を尽くしていれば休業するまでには至らなかったと 認められるケースでは「天災地変その他の不可抗力による休業」とは認められず、休業手当を支払わなければなりません。
「天災地変その他の不可抗力による休業」と認められるためには次の2つの要件を満たす必要があります。

(1) 客観的に見て休業の原因が事業主の関与し得
      ない外部により発生したこと
(2) 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽く
     してもなお避けることができなかったと認められ
     ること
A.
営業不振を理由とする休業は「使用者の責に帰すべき事由による休業」とされ、休業手当の支払いが義務付けられます。  
「使用者の責に帰すべき事由による休業」かどうかは、使用者が自己の責任で会社経営をおこなう以上、予想することができる経営の危険に対しては最善の努力を尽くさなければならないのであって、そのような努力をしてもなお避けることのできない事由によって休業したかどうかにより判断されることになります。   
  営業不振に限らず、資材や設備の不備を理由とした休業、取引先の倒産による休業などの経営上の理由による休業は同様に「使用者の責に帰すべき事由による休業」とされ、休業手当を支払わなければなりません。

Q2.
正式な懲戒処分を決定するまでの間、出勤停止を命令したがその間の賃金は支払う必要があるのか。
Q4.
私傷病休職期間満了時点で完全に体調が戻らず、元の業務に復帰できない社員に出勤停止を命じることはできるか。

A.
この場合の出勤停止は懲戒処分としてではなく、業務命令としての出勤停止と考えられるため、賃金または休業手当を支払わなければなりません。   
 一つの懲戒処分該当行為に対して二重の処分を行なうことは懲戒処分の「一事不再理の原則(二重処分の禁止)」から認められません。
 判例でも賃金を支払わずに出勤停止を命令し、さらに解雇したケースでは「解雇は二重処分となり、社会通念上、許されない」とされたものや同様のケースで自宅待機命令は業務命令であり、この間の賃金を支払うよう命じたものがあります。
 逆に、出勤停止期間中の賃金を支払ったケースでは、出勤停止は業務命令であり、懲戒処分に該当しないと判断されています。
A.
職種を限定して採用されている場合を除き、完全に復調しない状態でもおこなえる業務への配置転換を検討する必要があります。 十分検討した上で、その会社の規模、業種、社員の配置・異動の実情などに照らし配置転換が難しいということであれば出勤停止を命じることも可能ですが、何も検討せずに出勤停止を命じた場合は、人事権の濫用として無効とされることになります。 
 なお、最近の判例では職種限定で採用されていた社員の場合でも、(1)就業規則で業務の都合により職種の変更もありえるとされていた(2)時間を限定した業務なら復帰可能な健康状態であったという理由から、こうした検討をおこなわずに復職を拒否した会社に対し賃金の支払いを命じたものがあります。

    判例では上記のほかにも個々の具体的な事情が考慮される場合があります。

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