懲戒処分の取り扱いについて
平成18年9月25日 発行
遅刻や無断欠勤、業務命令違反など、社員が会社の規律を乱す行為を行なった場合、多くの会社は社員に対してなんらかのペナルティー(懲戒処分)を行っています。しかし、懲戒処分を行う場合には、その性格といくつかのルールを知ったうえで処分を行う必要があります。今月号では、懲戒処分の取り扱いについて解説します。

懲戒処分の性格とは
 

懲戒処分とは、会社の秩序を維持し、利益を守るために定めたルール(服務規律)に違反した社員に対し、その違反行為に対して課される不利益処分をいい、会社内における制裁罰であるとされています。  

労働契約を結ぶと、社員(労働者)は会社(使用者)の指揮命令にしたがって職務を行う義務が生じます。判例では、労働契約上の権利として、この義務に違反した社員に懲戒処分を行う権利(懲戒権)が会社にあるとしています。  

しかしながら、会社の懲戒権を無制限に認めてしまうと、最も厳しい懲戒解雇を含めた懲戒処分を会社が一方的に決定できることにより、社員に厳しい処分が行われる可能性が高くなります。このため判例や通達により守るべきルールが示されています。

懲戒処分を行う場合に必要とされる6つの原則
 

刑罰を行う場合、刑法などにより6つの基本原則を守ることが求められています。判例では、会社内の制裁罰である懲戒処分についても、この6つの基本原則を守ることを要求しています。
(1) 懲戒処分の根拠となる規定があること
(罪刑法定主義の原則)
懲戒処分を行うには、就業規則や労働協約などに「懲戒処分を行うこと」「懲戒処分の対象となる行為」「対象となる行為に対する懲戒処分の種類・内容」をあらかじめ定めて、それを社員に周知しておく必要があります。
(2) 二重に処分できないこと
(一事不再理の原則)
1つの違反行為について懲戒処分を行った後に、再度その行為に対して懲戒処分を行うことはできません。また、1つの違反行為に対しては、1回の懲戒処分しかすることができず、1つの行為を二重に処分することもできません。
(3) 遡って処分できないこと
(処分不遡及の原則)
懲戒処分は、懲戒処分の規定が設けられる(変更される)以前の違反行為に対して、遡って適用することはできません。
(4) 処分が一定していること
(処分平等の原則)
過去も含め、同程度の違反があった場合、それに対する懲戒処分は、同一の種類、同一の程度のものでなければなりません。(同じ内容の違反について、人によって懲戒処分の内容が異なってはなりません
(5) 違反と処分のバランスが取れていること
(処分相当性の原則)
懲戒処分の種類や程度は、違反行為の内容や程度などと比較して、重すぎたり軽すぎたりせず、相当なものでなければなりません。
判断の基準として、(1)就業規則などの規定に基づいているか、(2)これまでの取り扱いとバランスが取れているか、(3)社会通念上の取り扱いと比べて厳し過ぎないかなどが挙げられます。
(6) 処分に当たり適正な手続きが取られて
いること
(適正手続きの原則)
懲戒処分を行う場合には、適正な手続き(本人に弁明の機会が与えられている、処分に対する本人からの異議申し立てが保障されているなど)に従って行われる必要があります。

主な懲戒処分の内容と種類
 

譴  責

始末書を提出させて将来を戒める処分。(ただし、始末書の提出は強制できません)
減  給 始末書を提出させて、1回の事案につき平均賃金の半額を超えない範囲で、賃金から制裁として一定額を差し引く処分。(ただし、減給となる事案が1賃金支払期間内に複数ある場合には、減給総額が一賃金支払期における賃金の10分の1を超えることはできません)
出勤停止 始末書を提出させて、一定期間(1週間程度)の出勤を停止して欠勤扱いとする処分。
(その期間中の賃金は支給しません)
降格・降職 職務上の地位や資格を格下げする処分。(この処分に伴って賃金が低下した場合、減給処分とはみなされません)
諭旨解雇 退職願の提出を勧告して退職させる処分。(これに応じない場合には懲戒解雇とするのが一般的です)
懲戒解雇 30日前に予告をするか、または30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支給して即時解雇する処分。 (予告日数は解雇予告手当を支給した日数分だけ短縮することができます。また、労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受けた場合に限り、上記の手続きなしに即時解雇することができます)

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