労働基準法上の管理監督者とは
平成20年3月25日 発行
今年に入って、ファーストフード店の店長は、労働基準法でいう「管理監督者」にはあたらないという判決が出され、大きな話題を呼んでいます。労働時間の規定が適用されない「管理監督者」の適正な範囲とはどのようなものなのでしょうか。
 今月号では、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されない労働基準法上の「管理監督者」の適正な範囲について判例を交えて解説します。

労働基準法における「管理監督者」とは

法律では、「一般的には、部長、工場長など労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされています。
ただし、部長、工場長などの地位についていても、実態が備わっていなければ管理監督者とは認められません。
<具体的な基準>
(1) 労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあること
(経営に関する決定に参画する権限を有しているか、労務管理上の指揮監督権限を有していること)
(2) 労働時間、休憩、休日に関する規制の枠を超えて活動することが求められる重要な職務であり、現実の勤務状況も労働時間などの規制になじまないような立場にあること。自分の勤務時間について自由裁量権を有していること
(3) 基本給、役職手当等の水準が、その地位や職務の重要性にふさわしいものであること
ボーナスの支給率や、その算定基礎となる賃金についても一般社員と比べて優遇されていること

管理監督者と認められる場合に適用が除外されるもの  ○=適用が除外される ×=適用が除外されない

労働時間
法定労働時間(1日8時間、1週40時間)の制限枠が無いので、1日10時間働いたとしても時間外労働の 割増賃金(125%)は必要ありません。
深夜労働
×
深夜時間帯(原則として22時から翌日5時まで)の労働については割増賃金(25%)の支払い義務は免除 されません。したがって、深夜業の割増賃金(25%)を支払う必要があります。
休憩
法律上、1日8時間を超えて社員を働かせる場合には、その途中に1時間の休憩を与えなければなりません。 ただし、管理監督者には仮に休憩を30分しか与えていなくても違法ではありません。また、他の社員にあわせて一斉に休憩を与える必要もなく、休憩時間を自由に利用させる必要もありません。
休日
休日に労働しても休日労働として扱う必要はありません。もちろん割増賃金(135%)も必要ありません。
年次有給
休暇
×
休日の規定は適用除外されていますが、年次有給休暇の規定は適用除外されていませんので、法定の年次有給休暇を与えなければなりません。

管理監督者についての裁判所の判断(平成20.1.28東京地判)

争点: @管理監督者に該当するかどうか A時間外労働に対する割増賃金支払い義務があるかどうか
地位: 店長(ファーストフード店)
判決: @管理監督者に該当するとは認められないと判断
A支払い義務ありとして、約503万円の割増賃金と約251万円の付加金の支払いを命ずる
理由: 【店長の権限について】
店舗の責任者として、アルバイトの採用や時給の決定、従業員の勤務シフトの決定等に関する権限を持ち、会社の営業方針や営業戦略に即した店舗運営を遂行すべき立場にあるため、店舗運営において重要な職責を負っていることは明らかであるが、その職務・権限は店舗内に限定されるため、経営者と一体的な立場とは認められない。
【店長の勤務状態について】
自らスケジュールを決定し、遅刻や早退について上司の許可を得る必要はないが、店長固有の業務を遂行するだけで相応の時間を要するうえ、店舗の各営業時間帯に必ずシフトマネージャー(商品の製造・販売を総指揮する者)を置かなければならず、店長自らシフトマネージャーとして勤務することにより長時間労働を余儀なくされる場合も多いため、労働時間について自由裁量権を有していたとは認められない。
【店長の待遇について】
店長と下位の職位(残業代支給あり)の平均年収には相違があるが、店長全体の10%を占めるC評価の店長の平均年収は下位の職位を下回り、店長全体の40%を占めるB評価の店長の平均年収でも約45万円程度の差にとどまるため、店長の勤務実態を考慮すると、店長の賃金は管理監督者に対する待遇として十分であるとは認められない。

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