裁判員制度に関するQ&A
平成20年6月25日 発行
平成21年5月21日より、国民から選ばれる裁判員が刑事裁判に参加する制度(裁判員制度)がスタートします。今月号では、裁判員制度に関して、会社が取るべき対応などについてQ&A方式で解説します。なお、裁判員制度そのものの概要については、裁判員制度のホームページ(http://www.saibanin.courts.go.jp/)にてご確認ください。

Q.1 裁判員となった社員に対して、仕事を休むことを認めなければいけないのでしょうか?

A.  裁判員となるために必要な休みを取ることは法律で認められています。また、裁判員として仕事を休んだことを理由として、会社が解雇などの不利益な取り扱いをすることは、法律で禁止されています。
【労働基準法7条(公民権行使の保障)】
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。
※裁判員制度は、「公民権の行使」に該当します。
【裁判員法100条(不利益取り扱いの禁止)】
労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。

Q.2 仕事を理由に、裁判員になることを辞退することはできないのでしょうか?

A.  裁判員法が定める「辞退事由」に当てはまらない限り、裁判員等になることを辞退することはできません。

 仕事を理由として裁判員を辞退するためには、「仕事における重要な用務があって、自らがこれを処理しなければ著しい損害が生じるおそれがある」必要があり、下記の観点などから総合的に判断されます。
@ 裁判員として職務に従事する期間
A 事業所の規模
B 担当職務の代替性
C 予定される仕事の日時を変更できる可能性
D 裁判員として参加することによる事業への直接的な影響の度合い

Q.3 裁判員の仕事をするために会社を休んだ日については、有給扱いにしなければならないのでしょうか?

A.  有給であるか無給であるかは任意ですが、会社としての基準を明確にしておく必要があります。

 裁判員裁判期間中の休暇を有給にするかどうかは任意であり、その日数を賞与の算定日数から差し引くことも違法ではないとされています。しかし、CSR(企業の社会的責任)の観点から、有給扱いとするケースもあります。
 いずれにしても、休暇の取り扱い(有給・無給・裁判員の日当【上限1万円以内】との差額を支給など)について、統一した基準を決めておく必要があるでしょう。
Q.4 裁判員制度に伴う休暇について、社内規定や制度を新たに作成する必要はあるのでしょうか?

A.  裁判員制度に伴う休暇については、社内規定や制度を新たに作成することまでは義務付けられていませんが、会社の規模などに応じて、その取り扱いを検討する必要があります。

 Q1でも解説したとおり、裁判員制度に参加することは、「公民権の行使」に該当します。
 そのため、就業規則等に、選挙権その他の公民としての権利を行使するための休暇に関する規定が設けられている場合、その規定に準じて運用することは可能です。

 ただし、裁判員制度に参加した日を有給扱いとする場合など、既存の取り扱いと異なる基準が発生する場合には、その部分について、規定を変更するなどの見直しが必要になります。

 また、1件あたり50人〜100人の裁判員候補者が選ばれる予定であるため、1年間で裁判員候補者になる確率は、「約330人〜660人に1人」となり、社員数の多い大企業では、高い割合で社員から裁判員候補者が選ばれる可能性があります。

 そのような事態が予測される企業の場合には、「裁判員休暇制度」を新設して、裁判員制度における選任手続きの段階ごとに生じる取り扱いを明確に規定するとともに、それぞれの取り扱いにおける具体的な対応方法(例えば、対応マニュアルの作成など)を検討しておく必要があるでしょう。

Q.5 裁判員(候補者)に選ばれたことを公にしてはいけないと聞いたのですが、上司や家族に話すこともいけないのでしょうか?

A.  裁判員(候補者)になったことを上司や家族に話すこと自体は問題ありません。

 実務上は、会社に休暇を申請したり、業務の引継ぎを行う等の理由により、上司や同僚に話をする必要が出てきますし、家族の理解・協力も必要ですので、裁判員(候補者)になったことを知らせても問題はありません。
 ただし、報告を受けた上司や担当部署がそのことを公言することはできませんので注意が必要です。

 法律で禁止されている「公にする」とは、裁判員(候補者)になったことを不特定多数の人が知り得る状態にすることであり、具体的には自分が裁判員(候補者)に選ばれたことをインターネット等で公表するような場合がこれにあたります。

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