感染症対策に関するQ&A
平成20年8月25日 発行
近年、SARS、鳥インフルエンザ、ノロウィルスといった感染症の発生・流行が毎年のように問題となっています。そこで今月号は、会社の感染症の予防策および社員が感染症に罹患した場合の対応をQ&Aを交えて解説します。

感染症法による感染症類型

感染症法などの一部が改正され、都道府県知事が入院勧告や就業制限といった措置をとることができる疾病の対象に、新型インフルエンザ等感染症が追加されました。(平成20年5月12日施行)

1.就業制限がある感染症
 一類感染症、二類感染症、三類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に罹患した場合、感染症ごとに省令で定められている業務に従事してはいけません。

例)三類感染症の腸管出血性大腸菌(O157)に罹患してしまった場合。

 病原体を保有しなくなるまでの期間、飲食物の製造、販売、調製または取扱いの際に飲食物に直接接触する業務に従事してはいけません。

 就業制限は、一定の業務につくことを制限したものなので、一時的に業務の変更などをすることで、就業できることもあります。

分類 感染症
一類感染症(7疾患) エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、
ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱
二類感染症(5疾患) 急性灰白髄炎、重症急性呼吸器症候群(SARS)、ジフテリア、鳥インフルエンザ(H5N1)
結核
三類感染症(5疾患) コレラ、腸管出血性大腸菌感染症、
腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢
四類感染症(41疾患) E型肝炎、A型肝炎、エキノコックス症、
オウム病、回帰熱、Q熱、狂犬病、デング熱
ボツリヌス症、マラリア、レジオネラ症   など
五類感染症(42疾患) アメーバ赤痢、梅毒、風しん、麻しん、
感染性胃腸炎(ノロウィルスなど)、
水痘、百日咳、急性出血性結膜炎    など
新型インフルエンザ等
感染症(追加)
新型インフルエンザ
再興型インフルエンザ
指定感染症 現在、指定無し
新感染症 現在、該当無し
2.新型インフルエンザ対策のガイドライン
 新型インフルエンザウィルスとは、動物(特に鳥類)にのみ感染していたものが、偶発的にヒトに感染し遺伝子の変異によって、ヒトからヒトへと感染するようになったものです。それによって起こる疾患が新型インフルエンザです。免疫がないため急速に世界的大流行を起こす危険性があります。

職場における新型インフルエンザ対策
1) 在宅勤務、時差出勤、自家用車・徒歩・自転車等による出勤を励行する。また、可能であれば、重要でない出張や会議を中止・延期するなど、社員に感染する機会を減少させる。
2) マスクの着用、手洗いの励行、職場の清掃・消毒、食堂の時差利用などにより職場での感染を防止する。
3) 経営者の意志決定を代行する者の指名、重要業務を代替するための教育などにより欠勤者が出た場合に備えて代替要員を確保する。

感染症対策に関するQ&A

【Q1】 感染症に罹患してしまった社員に自宅待機を命じることができますか。

【A1】 自宅待機命令は可能ですが、就業制限のない感染症(四類感染症、五類感染症)で、会社の判断により休業させる場合は休業手当が必要になります。

 病状の重篤度が低い感染症、感染力が弱い感染症、国内で一般に発生している感染症などに罹患した社員を休業させた場合などは、労働基準法第26条の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払う必要があります。
 ただし、社内で患者が急激に増加している場合、症状が重篤になりやすい高齢者や子供、病者の介護に従事しているなど、特別な事情がある場合には休業手当が不要になる可能性もあります。


【Q2】 感染症がまん延している海外への出張を命じることができますか。

【A2】 感染症がまん延している国に赴任することを条件に採用されているなどの特別な理由がある場合を除き、原則としてその出張命令は無効となります。

 感染する危険性が高い場合や、死亡率の高い感染症がまん延しているなどといった場合には、その国への出張命令はできないと考えられます。必ずしも感染の危険がないとはいえない国についても、業務上やむを得ない事由や、感染の危険についての十分な対策などがなければ出張命令を拒否したことにより業務命令違反とすることはできません。
 また、海外出張者が感染症に罹患した場合、特に感染者の多い地域に私的な用事で出向いたなどの事情がない限り、業務上災害と認められることになります。

| 戻る |

Copyright(C) 1998-2008 CommunicationScience Co.,Ltd All Rights Reserved.