残業代および残業時間の端数処理について
平成20年10月25日 発行
労働基準法上の管理監督者に当たらない「名ばかり管理職」に対する残業代の未払いがクローズアップされています。しかし、実は名ばかり管理職の問題だけでなく、以前から残業代や残業時間の端数切り捨てによる未払いも問題になっています。そこで今月号では残業代、残業時間の正しい端数処理方法をQ&Aを交えて解説します。

残業時間の端数切り捨てによる未払いが問題となったケース

ケース1

 大手ファストフードの直営店で、社員およびアルバイトの残業時間数を1日ごとに残業時間の30分未満を切り捨てて計算し、その時間分の賃金が未払いになっていたことが判明。社員約4600人、アルバイト約9万1000人に対し、過去2年分の残業代を遡及して支払うとともに、すでに退職している元従業員にも同様の措置を取り、未払い残業代を支払う。

ケース2

 家電量販店大手の傘下に属する家電・家具小売業の会社で、平成17年10月から19年10月までの2年間に社員らに対して残業代などの未払いがあったことが判明、労働基準監督署からの是正勧告を受けて総額37億円を遡及して支払う。
 未払いの内容は、@1日ごとに30分未満の残業時間を切り捨てていたことA休日の会議や研修に参加した際の賃金が一部未払いとなっていたことB労働基準法上の管理監督者にあたらない店次長やチーフなど、社員678人を管理監督者とみなして残業代を支払っていなかったことなど。

ケース3

全国展開する居酒屋チェーンで、アルバイトの勤務時間を1日ごとに30分未満を切り捨てて計算していたことが判明。労働基準監督署から是正勧告を受けて計217人に総額1200万円を遡及払い。

残業時間の端数処理に関するQ&A

【Q1】  早番と遅番の引き継ぎやレジの精算があるため、どうしても所定退勤時刻から10分や20分遅れてしまう場合、毎日の勤務時間を1分単位で集計するのは大変なので、15分未満を切り捨て、15分以上を30分に切り上げて計算することは問題ないか。

【A1】  1日の労働時間は1分単位で計算しなければなりません。端数を切り上げることは問題ありませんが、切り捨てることはできません。
 ただし、1カ月の労働時間を通算して30分未満の端数が出た場合には切り捨て、30分以上の端数を1時間に切り上げて計算することは認められています。(下記@参照)
【Q1】  月給制で毎月の労働時間数が異なる場合、割増賃金の時間単価は「1年間における1カ月平均の所定労働時間数」を求めて計算するとのことだが、この時間数に端数が出た場合はどうするのか。

【A1】  月給制の場合、月によって所定労働時間数が異なるときは、割増賃金の算定基礎賃金を「1年間における1カ月平均の所定労働時間数」で割って時間単価を求め、その時間単価に割増率を掛けて割増賃金単価を算出します。
 「1年間における1カ月平均の所定労働時間数」は、1年間の総暦日数から所定休日を差し引いて年間の総所定労働時間数を算出し、それを12で割ることになりますが、その結果、整数で割りきれず端数が出ることがあります。
 この場合、端数を切り捨てて計算すれば時間単価は高くなり、逆に切り上げれば時間単価は低くなりますが、労働者に不利益を与えないためには、適当な位で端数を切り捨てて計算することが適当とされています。

通達で認められている割増賃金の端数処理方法

@ 1カ月の時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
A 1時間あたりの賃金額および割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
B 1カ月の時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること

割増賃金に限らず、通達で認められている賃金支払の端数処理方法

C 1カ月の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した額)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと
D 1カ月の賃金支払額に生じた1000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うこと

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