会社が知っておくべき問題社員への対処法
平成21年10月25日 発行
問題社員に懲戒処分を行って裁判になった場合、事前に注意や指導を行っていたか、行為と処分のバランスがとれているかということが裁判では重要な判断要素になります。さらに、就業規則にその処分の根拠となる定めがあってはじめて、処分が有効と判断されることになります。今月号では社員の問題行動に対処するための就業規則の定め方を解説します。

定期健康診断を受けようとしない社員への対処法

 労働安全衛生法により、会社は常時使用する労働者に対して1年以内ごとに1回、定期健康診断を実施しなければなりません。これを怠った場合には50万円以下の罰金が科せられることになっています。一方、労働者にも健康診断の受診義務が課されていますが、労働者が健康診断を受けなかったとしても、労働者に対する罰則は設けられていません。
 では、会社が法定の健康診断を実施したにもかかわらず、一部の労働者がそれを拒否して受診しなかった場合はどうなるのでしょうか。
 会社が健康診断の必要性を十分に説明し、受診するよう説得しているにもかかわらず労働者が受診しなかった場合、会社の責任は軽減されるものと考えられます。また、就業規則に「会社が年1回実施する定期健康診断を受けなければならない。」「健康診断について、正当な理由なく拒むことはできない。」などの定めがあれば懲戒処分を検討することになります。

法定外項目の検診の受診命令の適否が争われた最高裁の判例では、次の理由から労働者には検診を受診すべきという業務命令に従う義務があり、会社の戒告処分が有効と判示したものがあります。
 

身だしなみに問題がある社員への対処法

 茶髪やピアス、口ひげといった外見は、本人の能力や勤務態度とは直接関連しません。また、ファッションも時代によって変わ ります。しかし、営業や接客業など、職種や業種によって外見が会社のイメージや信用に大きな影響を与える場合には、会社として服装・身だしなみについて制限をすることが必要です。この場合でも就業規則の服務規律規定などに記載したうえで、制限する理由を十分に説明してから実施する必要があります。
【制限できる判断のポイント】
制限を加える場合には、就業規則等に「制限する事項」と「違反した場合の懲戒」を明確に規定し、制限を加える理由や必要性について、社内研修や朝礼、ミーティング等で十分説明しておく必要があります。
そのうえで、違反者に対して注意をし、注意をしても従わない場合には懲戒処分を行うことになります。

無断欠勤の末、行方不明になった社員への対処法

@無断欠勤を理由に解雇する
 解雇はその意思表示が相手に伝わらない限り効力が発生しないため、解雇予告をするには簡易裁判所に「公示による意思表示の申立」をします。この場合、裁判所で公示した日から2週間後(相手方に解雇予告の意思表示が到達したとみなされる日)の翌日から起算して30日後が解雇日となります。即時解雇する場合は、労働基準監督署において解雇予告除外認定を受ける、若しくは解雇予告手当を法務局に供託することになり手続が非常に複雑です。
A無断欠勤を理由に自動退職とする
 就業規則の「退職」の項目に「行方不明となり、行方不明となったことを会社が知った日から○○日目に達したときはその日をもって退職とする」などの定めがあれば、○○日後には自動退職とすることが可能です。

※ 自動退職とするまでの欠勤期間は会社が合理的な範囲で決められますが、社会保険料の負担などを考慮して暦日数で30日程度にする会社が多いようです。

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