改正労働基準法に関するQ&A
平成22年1月25日 発行
長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに仕事と生活の調和がとれた働き方を実現するために、平成22年4月に改正労働基準法が施行されます。今月号では改正労働基準法に関して特に質問の多い事項をQ&A形式で解説します。

Q.1  中小企業は月60時間を超えて時間外労働を行わせても、当分の間、法定割増賃金の引き上げ(25%→50%)が猶予されるそうですが、その中小企業の範囲を教えてください。
A.  猶予される中小企業は、業種ごとに資本金の額または労働者数で判断されます。業種の分類は日本標準産業分類に基づいて、会社が複数の業種に該当する事業活動を行っている場合は、その中でも主要な事業活動の種類で判断されます。「労働者の数」は労働契約の有無で判断されます。(事業所単位ではなく、企業単位で判断します。)例えば、在籍出向者は出向元と出向先の両方で労働者数に含めなければならず、派遣労働者は派遣元のみで労働者数にカウントします。

【猶予される中小企業の範囲】
  @資本金の額または出資総額 または A常時使用する労働者数
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下

Q.2  平成22年4月1日以降、中小企業を除き、月60時間を超える時間外労働を行わせた場合は50%以上の割増率で計算した割増賃金を支払わなければなりませんが、法定休日労働の時間はこの60時間に含めますか。また、土曜日と日曜日が休日の週休2日制の会社で法定休日を特定していない場合、土日両方に労働させると、どちらの労働時間が法定休日労働になるのでしょうか。
A.  時間外労働が60時間を超えるかどうかをカウントするうえで、法定休日労働の時間は含めません。法定休日が特定されていない会社で、土曜日と日曜日の両方に労働させた場合は、その週で後順に位置する日の労働が法定休日労働となります。週の始まりを特に定めていない会社では暦週(日〜土)の後順の曜日、つまり土曜日の労働が法定休日労働となり、就業規則などに週の初めを月曜日(月〜日)と定めている会社であれば、日曜日の労働が法定休日労働となります。

参考 2010(平成22)年4月1日以降の割増賃金率】
時間外労働時間数 割増率
月45時間まで 25%以上
(現行通りの義務)
月45時間を超え、
月60時間まで
25%を超える率
(努力義務)
月60時間を超える部分 50%以上 (義務)
(中小企業を除く)
Q.3  平成22年4月に特別条項付き36協定を更新する予定ですが、今後はどこを変更する必要があるのでしょうか。
A.  法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて労働させる場合、会社と労働者代表とで「時間外労働・休日労働に関する協定」(通称36協定)の締結が必要です。ただし、超過時間には限度があり、具体的には1週15時間、1カ月45時間、1年360時間と定められています。
  さらに、この限度時間を超えて時間外労働をさせる場合は通常の36協定では足りず、「特別条項付き36協定」を結んでおく必要があるのですが、今回の改正により、4月以降に「特別条項付き36協定」を締結または更新する会社は、次の点に注意しなければなりません。

(1) 36協定の中で、月45時間を超える残業に対する割増賃金の率を定めること(義務)
(2) (1)の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするよう努めること (努力義務)
(3) 月45時間を超える残業をできるだけ少なくするよう努めること (努力義務)

 なお、改正後の限度基準の適用日は平成22年4月1日なので、協定が平成22年3月中に締結または更新されていれば、届け出が4月以降に遅れた場合でも改正後の限度基準は適用されません。中小企業でも特別条項付きの36協定を結ぶ場合は、(1)の割増賃金率を記載しなければなりません。

Q.4  今後は年次有給休暇(以下、年休といいます)を年に5日まで時間単位で取得できるようになるそうですが、所定労働時間が7時間30分の会社で5日分の年休とは37時間30分になるのでしょうか。
A.  平成22年4月以降、会社と労働者代表とで労使協定を結んでおけば、年休を時間単位で利用できるようになります。時間単位年休を導入するには、まず会社ごとに1日分の年休に対応する時間数を定めておく必要があります。その際、1時間に満たない端数がある会社では時間単位に切り上げてから計算しなければなりません。


1日の所定労働時間7時間30分を切り上げる8時間
8時間×5日=40時間分
※ 7時間30分×5日=37時間30分を切り上げて38時間という計算にはなりません。

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