出張の取り扱いに関するQ&A
平成23年7月25日 発行

出張の場合、社員に通常の勤務場所以外の場所で業務を行わせるため、労働基準法や労災保険法での取り扱いが通常勤務の場合と 異なるケースがあります。今月号は出張中の労働時間、移動時間や労災保険など、出張に関する取り扱いについてQ&Aで解説します。

【Q1】出張中の労働時間のカウント方法は?
【A1】上司が同行する場合や、いつでも連絡できる状態にあるなど、労働時間が把握できる場合は実際の労働時間に基づいて労働時間をカウントします。

 例外として、単独で出張する場合など、労働時間が算定しがたいと認められる場合に限り、「みなし労働時間制」の考え方を基に、所定労働時間労働したものとみなすことはできますが、出張後に会社に戻って勤務をした場合には、その分の労働時間は別途計算して労働時間にカウントしなければなりませんので注意が必要です。

【Q2】出張中の休日の取り扱いは?
【A2】出張の途中に休日がある場合、休日出勤命令や振替休日の指定が行われない限り、その日は所定休日として取り扱われることになります。

 考え方は通常の休日と同じで、その所定休日に業務を行った場合には、その日は休日労働または時間外労働としての割増賃金を支払わなければなりません。

【Q3】出張中の移動時間の取り扱いは?
【A3】例えば、休日に出張先に移動する際に、業務に必要な物品の監視をしなければならないようなケースでは、移動時間も労働時間としなければなりませんが、業務に必要な物品の監視などの必要がなく、単なる移動の場合には移動時間は直ちに労働時間とはなりません。

 しかし、休日の移動について一定の出張手当(金額は通常の賃金でなくても構いません)を支給するなどの代償措置を講ずることが望ましいといえます。

【Q4】海外出張時の労働時間の取り扱いは?
【A4】海外にいても、日本国内の法人に雇用されたまま単に出張しているだけということであれば、日本の労働基準法が適用されます。そのため、出張中の労働時間と日本での労働時間を通算して、1日や1週の法定労働時間を超えてしまうときは、当然割増賃金を支払わなければなりません。
【Q5】出張中の労災保険の取り扱いは?
【A5】労災保険が適用されるかどうかの判断は、大きく分けて@業務遂行性とA業務起因性の2つにより判断されます。

@【業務遂行性】… 労働者が事業主の支配下にある状態をいい、これが認められれば労災(業務災害)となります。

⇒出張中は、出張先で行う業務の進めかたや成果について、包括的に会社に対する責任を負っていると考えられているため、出張過程のすべてにおいて業務遂行性が認められます。そのため、自宅から出張先に移動する過程においてケガをした場合でも、通勤災害ではなく業務災害になります。

A【業務起因性】… 対象となる傷病などが、業務を行っていたことを原因として発生したものであることをいいます。

⇒出張中に発生した災害は、私的行為や恣意的な行為に基づくものでない限りは業務起因性が認められます。
そのため、業務とはまったく関係のないことをしてケガをした場合や、出張中に夜飲みに行った際に起きた事故などについては労災が認められないということになります。

【Q6】出張命令を拒否できるの? 拒否した時の処分は?
【A6】出張とは、社員に通常の勤務場所以外の場所で業務を行わせることをいい、原則として、会社は就業規則に定めがなくても社員に出張を命じることができます。

 ただし、例外として、政治的に不安定な地域や治安が悪い地域への出張長期にわたる出張(海外出張など)の場合は、就業規則にそれらの出張命令の根拠となるルールを定め、対象者の同意を得て出張を命じる必要があります。
 判例でもこれらの出張については労働者に拒否権が認められ、出張を強要することはできないとされたものがあります。

 また、出張命令を拒否した時の処分は、原則として譴責処分程度が妥当であり、以後も出張命令拒否が続くような場合は、徐々に重い処分を課すことになります。
 ただし、業務上重大な影響を及ぼすような出張命令を拒否した等、特別な事情がある場合は、懲戒解雇も視野に入れて適正な処分を課すことになります。

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