募集・採用時の注意点
平成23年9月25日 発行

募集・採用について、会社はどのような人を採用するかを原則として自由に決めることができます。ただし、守らなければならないポイントがいくつかあり、その対応を間違えるとトラブルになることもあります。今月号では募集・採用時の注意点をQ&Aで解説します。

Q.1 募集をする際に明示しなければいけない条件とは?
A.職業安定法では、社員の募集を行う際に、業務の内容や就業場所など、一定の労働条件の明示を義務付けています。

具体的には下記のとおりです。
 @従事すべき業務の内容
 A労働契約の期間
 B就業場所
 C始業・終業時刻、残業の有無、休憩および休日
 D賃金の額
 E各種労働・社会保険の加入状況

また、内容の明示については的確な表示に努めるものとされています。例えば、「一般事務」とだけ記載するのではなく、「受付、電話による応対・取次ぎ・パソコンを使った文書入力・書類の整理」など具体的に明示することが求められています。

Q.2 求人広告に載せた賃金などの労働条件を、雇用契約を結ぶ際に変更することができるか?
A.雇用契約の内容が確定するのは、雇用契約を結ぶ時です。したがって、求人票や求人広告、会社説明会などで提示された労働条件の内容と雇用契約時の内容が異なっていたとしても、直ちに違法とはなりません。

 しかし、募集の段階で提示された労働条件の内容と雇用契約時に明示された労働条件の内容が、合理的な理由もなく異なっていることは問題です。

 募集時に提示した労働条件を下回る労働条件で採用することは、信義則に反するとされています。

 求人広告などに、中途採用でも大学卒業年次が同じで、卒業と同時に入社した者と同等の待遇を受けられると思わせるような説明をし、それを信じて入社した中途採用者に対して、精神的衝撃を与えたことは信義則に反するとして、会社に慰謝料100万円を支払うよう命じた判例もあります。
 したがって、募集時に提示した賃金額よりも下がる場合には、雇用契約を結ぶときに合理的な理由を述べて説明しなければならず、説明できない場合には、会社は募集時に提示した賃金額を支払わなければなりません。
Q.3 採用選考(面接)時に注意しなければならないことは?
A.社員を採用する際に、面接で様々な質問をしますが、この部分については法律や行政指導などで「業務の目的達成に必要な範囲内での個人情報の収集」に限られていることに注意が必要です。

【避けるべき質問等】
@本人に責任のない事項の把握
・本籍・出生地に関すること(「戸籍謄(抄)本」を提出させること)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設等)
・住宅環境、家庭環境に関すること

A本来自由であるべき事項(思想信条に関すること)の把握
・宗教に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・思想に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
・支持政党に関すること
・尊敬する人物に関すること
・労働組合・学生運動など社会運動に関すること

Bその他
・女性だけを対象とした質問(結婚の予定・出産後も働き続けるかどうかなど)

Q.4 どのような場合に採用内定の取り消しができるか?
A.判例では、「内定当初に知ることができず、また知ることが期待できないような事実」に基づいて、客観的にみて合理的と認めれらる範囲のものに限られるとしています。

【内定取り消しが認められたケース】

・採用内定後にデモに参加し、公安条例および道路交通法違反で逮捕されて起訴猶予処分を受けたことを理由とした内定取り消し。

【内定取り消しが認められなかったケース】

・内定後に、入社後に行う業務を変更する配転命令に従わなかったことよる内定取り消し。

・新卒者が、採用内定後の入社前研修を学位取得のために欠席したことを理由とした内定取り消し。

・不適格者をいったん内定とし、不適格の部分を打ち消すような材料が出てこなかったとして行った内定取り消し。

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