改正高年法に関するQ&A

平成24年12月25日  発行

65 歳になるまで希望者全員の雇用を確保する義務を定めた「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下、「高年法」といいます)が改正され、平成25年4月1日から施行されます。改正の詳細な内容を定めた省令や基本方針、指針なども公布され、改正の内容が明らかになってきましたので、今月号では改正高年法についてQ&A方式で解説します。

高年法の改正内容とは?

継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止 これまでは、労使協定により継続雇用制度の対象となる高年齢者についての基準を定め、その基準に該当する者だけを雇用することが認められていましたが、今回の改正でこの仕組みが廃止されます。(但し、平成37 年3 月31 日までの経過措置あり
継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大 継続雇用制度は、定年を迎えた企業で引き続き雇用される者以外に、グループ企業などの「特殊関係事業主」によって雇用される者も認められることになりました。また、「親会社⇔子会社」に限らず、「子会社⇔親会社」「子会社→関連会社」など、継続雇用が認められる企業の範囲が拡大されます。
義務違反の企業に対する公表規定の導入 高年齢者雇用確保措置に関する勧告に従わなかった企業に対して、企業名を公表することができることが法律に明記されます。

※その他のものとして、「高年齢者雇用確保措置の実施および運用に関する指針の策定」があります。

60歳に達する社員がいない場合でも、継続雇用制度を導入しなければならないのか?

高年法は、企業に定年の引上げや継続雇用制度の導入など、高年齢者の雇用を確保する措置を講じることを義務付けています。

そのため、当分の間、60歳以上の社員が生じない企業であっても、65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置を講じていなければなりません。

継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの経過措置とは?

平成25年4月1日から、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられます。(下記参照)

60歳到達日 開始年齢
平成25年4月1日から平成28年3月31日まで 61歳
平成28年4月1日から平成31年3月31日まで 62歳
平成31年4月1日から平成34年3月31日まで 63歳
平成34年4月1日から平成37年3月31日まで 64歳

継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止することの目的は、制度として「無年金・無収入」の期間をなくすことですので、報酬比例部分が開始される上記の年齢以上の者については、経過措置として引き続き労使協定による継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められます。

また、心身の不調により業務に堪えられない場合や、勤務状況が著しく不良な場合など、就業規則に定める解雇事由または退職事由(年齢によるものは除きます)に該当することを理由として、継続雇用をしないことは可能です。

なお、上記の経過措置が利用できるのは、改正高年法の施行前まで(平成25年3月31日まで)に就業規則および労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた企業に限られますので注意が必要です。

継続雇用するにあたり、正社員からいわゆる嘱託やパートなど雇用形態や労働条件等を変更して雇用することはできるか?

継続雇用後の労働条件については、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、会社と社員との間で決定することができます。

1年ごとに雇用契約を更新する場合でも、年齢を理由として65歳前に雇用を終了させるような雇用契約でなく、原則として65歳になるまでは更新される契約であれば締結することは可能です。(但し、能力など年齢以外を理由として契約を更新しないことは認められます。)

会社と本人の間で労働条件が合意できず、社員が継続雇用を拒否した場合も違反になるのか?

高年法で定められているのは継続雇用制度の導入であり、会社に対して定年退職者の希望に合った労働条件で雇用することを義務付けるものではありません。

労働条件を決めるにあたって、会社が合理的な裁量の範囲内において決定した労働条件を提示していれば、社員と会社の間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に社員が継続雇用されることを拒否したとしても、法違反にはなりません。

就業規則で継続雇用の基準に該当する者を定年後に継続的に雇用する旨を定めているが、経過措置によりこの基準を利用する場合でも、就業規則を変えなければならないか?

経過措置の基準は年金支給開始年齢以上の者が対象であり、60歳の者は基準を利用する対象とされていません。

また、基準の対象年齢は3年ごとに1歳ずつ引き上げられますので、基準の対象年齢を明確にするため、就業規則の変更が必要になります。