退職勧奨を行う際の対応と注意点

平成26年5月25日  発行

厚生労働省発表「平成24年度個別労働紛争解決制度施行状況」によると、平成24年度に寄せられた個別労働紛争相談件数のうち、退職勧奨を理由とした相談は25,838件とされ、その数は前年に比べ下がってはいるものの、依然として高い数値となっています。

退職勧奨には法的な縛りがないだけにトラブルに直結しやすく、実施する際は慎重な対応が求められます。今月号では、退職勧奨に対する適切な対応と注意点について解説します。

1.退職勧奨について

(1)退職勧奨とは

退職勧奨とは、従業員が自らの意思(合意の上)で退職する様に、会社側が働き掛けを行う行為のことを言います。

一般的に解雇と混同されがちですが、「解雇」は従業員の意思とは関係なく会社側が一方的に労働契約の解除を強要することを指しますので、会社側から退職を働き掛ける「退職勧奨」とは異なります。また、退職勧奨には強制力がない点も解雇とは異なります。

(2)退職勧奨のポイント

・ 労働者に退職を「勧奨」することは、原則として法的に制限されていません。

☞ 但し、男女雇用機会均等法第6条第4号(性別を理由とした差別)や労働組合法第7条第1項(労働組合員であることを理由とした差別)には注意する必要があります。また、法的な制限がないからといって、手段や方法まで制限されていないわけではありません。

・ 労働者は、会社側からの「勧奨」を受け入れるか否かを自由に決定することができます(強制することはできません)。

☞ 労働者の自由な意思決定を妨げる行為は、権利侵害とされる場合がありますので、注意する必要があります。

・ 労働者が「勧奨」を受け入れて退職する場合は、会社都合退職となります。

☞ 例え合意の上であっても、会社側からの働き掛けによる退職ですので、会社都合退職となります。

(3)退職勧奨と解雇の相違点

法的な位置付け 30日前の解雇予告 法的に制限される理由 退職理由
退職勧奨
労使合意の上での
労働契約の解除
必要なし な し 会社都合退職
解 雇
会社側からの一方的
な労働契約の解除
必要あり あ り
(業務上の負傷・疾病での休業期間及びその後30日間、
産前産後休業期間及びその後30日間 等々)

2.退職勧奨を行う際の注意点

(1)面談前(事前準備)

・ 面談は就業時間中、社内で行うようにする。

・ 圧迫面談とならない様に会社側の出席人数は最小限(2人程度)に留める。逆に1対1での面談は避ける。

・ 1回の面談時間は30分~1時間程度、面談回数は1~2回を想定して準備を進める。

・ 退職勧奨を拒否された場合の対応策(選択肢)も念のため検討しておく。

(2)面談時

・ 勧奨に至った理由、退職する際の条件等を誤解のない様に明確に伝える。

・ トラブルになった時のことを想定して、面談中の経緯については細かく記録を付けておく。

・ 退職強要、人権侵害、名誉棄損等にならないように、言動には十分に注意を払う。

・ 結論を急がせず、考える時間(期間)を与えるようにする。

(3)面談後(退職時の対応)

・ 勧奨を受け入れて退職する場合は、トラブル回避のため「退職合意書」を取り交わすようにする。