メンタルヘルス疾患による休業者の職場復帰プロセスについて②

平成28年1月25日  発行

労務情報No.259(平成27年11月25日発行)で解説しましたメンタルヘルス疾患による休業者の職場復帰プロセスについて、今回はプライバシーの保護や職場復帰に関して検討・留意すべき事項を解説します。

【プライバシーの保護】

従業員の健康情報等は個人情報の中でも特にセンシティブな情報であり、厳格に保護しなければならず、とりわけメンタルヘルスに関する健康情報等は慎重な取扱いが必要です。

[情報の収集と従業員の同意等]

・取扱う従業員の健康情報等の内容は必要最小限にする

・健康情報等を収集する場合、あらかじめ本人の同意を得て、できる限り本人を通して行うようにする

・健康情報等を第三者へ提供する場合も、原則、本人の同意が必要

[情報の集約・整理]

・従業員の健康情報等を取扱う者とその権限を明確にする

・情報は特定の部署で一元的に管理する

・業務上必要と判断される場合に限り、集約・整理した情報を必要とする者に伝えられる体制が構築されていることが望ましい

[情報漏えい等の防止]

・従業員の健康情報等の漏えい等の防止措置を厳重に講ずる

・健康情報等を取扱う者に対して、健康情報等の保護措置のため必要な教育及び研修を行う

[情報の取扱いルールの策定]

・健康情報等の取扱いについて、衛生委員会等の審議を踏まえて一定のルールを策定する

・策定したルールを関係者に周知する

【職場復帰支援に関して検討・留意すべき事項】

[主治医との連携]

・主治医との連携にあたっては、事前に従業員に説明し、同意を得ておきます。

・主治医に対し、職場復帰支援に関する事業場の制度、従業員本人に求められる業務の状況等を説明します。

・主治医と情報交換を行う場合、職場復帰を支援する立場を基本とし、職場での配慮事項を中心に必要最小限とします。

[職場復帰可否の判断基準]

職場復帰の可否は、個々のケースに応じて総合的な判断が必要です。

従業員の業務遂行能力が完全に改善していないことも考慮し、職場の受け入れ制度や体制と組み合わせて判断します。

<判断基準の例>

・従業員が十分な意欲を示している

・通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる

・適切な睡眠覚醒リズムが整っている、昼間に眠気がない

・決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である

・業務に必要な作業ができる   など

[試し出勤制度]

正式な職場復帰決定前に、社内制度として試し出勤制度等を設けると、より早い段階で職場復帰の試みを開始することができます。

<試し出勤制度等の例>

①模擬出勤:勤務時間と同様の時間帯にデイケアなどで模擬的な軽作業を行ったり、図書館などで時間を過ごす

②通勤訓練:自宅から勤務職場の近くまで通勤経路で移動し、職場付近で一定時間過ごした後に帰宅する

③リハビリ出勤:職場復帰の判断等を目的として、本来の職場などに試験的に一定期間継続して出勤する

※これらの制度の導入にあたっては、処遇(給料・通勤費など)や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等について、
あらかじめ労使間で十分に検討し、ルールを定めておく必要があります。

[職場復帰後における就業上の配慮等]

職場復帰は元の職場へ復帰させることが原則です。ただし、異動や元の職場の人間関係等が発症の原因となっている場合、
配置転換や異動を検討することも必要です。また、復帰後は労働負荷を軽減し、段階的に元へ戻すなどの配慮が重要です。

<復帰後の就業上の配慮の例>

・短時間勤務への変更、残業・深夜業務の禁止

・軽作業や定型業務への従事

 

・出張制限、転勤についての配慮

・窓口業務、苦情処理業務などの制限   など