雇用型テレワークのガイドラインについて

平成30年6月25日  発行

働き方改革が進められるなか、柔軟な働き方の1つとして在宅勤務やサテライトオフィスなどの「雇用型テレワーク」を導入する企業が増えています。厚生労働省は、今年の2月に「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を策定しました。今月号では、ガイドラインの内容について解説します。

【テレワークのメリットと課題】

◆テレワークは労働者が所属する事業場での勤務に比べて、 働く時間や場所を柔軟に活用することが可能

労働者にとってのメリット 会社にとってのメリット 問題や課題

・通勤時間の短縮

・業務の効率化・時間外労働の削減

・育児や介護と仕事の両立の一助に

・仕事と生活の調和を図ることが可能 等

・業務効率化による生産性の向上

・育児・介護等による労働者の離職の防止

・遠隔地の優秀な人材の確保

・オフィスコストの削減       等

・労働時間の管理が難しい

・仕事と仕事以外の切り分けが難しい

・長時間労働になりやすい    等

【ガイドラインの主なポイント】

① 労働条件の明示

⇒テレワークを行うことを予定している場合、テレワークを行うことが可能である勤務場所を明示することが望ましいです。

② 労働時間制度における注意点

(A)労働時間の適正な把握

会社は、テレワークを行う労働者の労働時間についても適正に把握する責務を有します。

(B)いわゆる中抜け時間

労働者が労働から離れて自由利用が保障されている場合、休憩時間や時間単位の年次有給休暇として取扱うことが可能です。

(C)通勤時間や出張旅行中の移動時間中のテレワーク

会社の明示または黙示の指揮命令下で行われるものは、労働時間に該当します。

(D)勤務時間の一部をテレワークする際の移動時間等

会社が移動することを労働者に命ずることなく、単に労働者自らの都合により就業場所間を移動し、自由利用が保障されている場合は、労働時間に該当しません。

(E)フレックスタイム制

テレワークにおいてもフレックスタイム制を活用可能です。(ただし、あくまで始業・終業の時刻を労働者に委ねる制度のため、労働時間の把握が必要になります。)

③ 事業場外みなし労働時間制

⇒会社の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときは、事業場外みなし労働時間制が適用されます。

具体的には、①情報通信機器が会社の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと、②随時会社の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと が必要です。

④ 裁量労働時間制

⇒裁量労働制の要件を満たし、制度の対象となる労働者についても、テレワークを活用することが可能です。

⑤ 休憩時間

⇒労使協定により、休憩時間の一斉付与の原則の適用を除外することが可能です。

⑥ 長時間労働対策

⇒会社は、下記の具体的な手法により、長時間労働による健康障害防止を図ることが求められます。

(A)メール送付の抑制

役職者等から時間外、休日または深夜におけるメールを送付することを自粛するように命じること。

(B)システムのアクセス制限

外部のパソコン等から、深夜・休日はアクセスできないように設定すること。

(C)テレワークを行う際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止等

業務の効率化やワークライフバランス実現の観点から、時間外・休日・深夜労働を原則禁止または許可制とすること。

(D)長時間労働等を行う労働者への注意喚起

長時間労働が生じるおそれのある労働者に対して、労働時間の記録および、労務管理システムを活用した注意喚起を行うこと。

※その他、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法等の労働基準関係法令が適用されますので、注意が必要です。