労働者派遣事業と請負との区分基準ついて

平成30年7月25日  発行

労働者派遣と請負とでは、労働者の安全衛生の確保、労働時間管理等に関して、雇用主(派遣元事業主、請負事業者)、派遣先、注文主が負うべき責任が異なっているため、労働者派遣か請負かを明確に区分する必要があります。今月号では、労働者派遣か請負かの区分基準についてQ&A形式で解説します。

1.労働者派遣と請負の違い

[労働者派遣事業]

派遣元が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて
派遣先のために労働に従事させることを業として行うこと。

労働者派遣事業の説明図

[請 負]

労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの。
請負には、注文主と労働者の間に指揮命令関係は生じない

請 負の説明図

※注文主と労働者との間に指揮命令関係がある場合、請負契約であっても労働者派遣事業に該当し、労働者派遣法の適用を受けることになります。
派遣・請負の判断基準として「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」が定められています。

2.労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関するQ&A

【Q1】請負労働者に対して、発注者は指揮命令を行うと偽装請負になると聞きましたが、発注者が請負事業主の労働者(以下「請負労働者」といいます)と日常的な会話をしても、偽装請負となりますか。

【A1】発注者が請負労働者と、業務に関係のない日常的な会話をしても、発注者が請負労働者に対して、指揮命令を行ったことにはならないので、偽装請負にはあたりません。

【Q2】欠陥製品が発生したことから、発注者が請負事業主の作業工程を確認したところ、欠陥商品の原因が請負事業主の作業工程にあることがわかりました。この場合、発注者が請負事業主に作業工程の見直しや欠陥商品を製作し直すことを要求することは偽装請負となりますか。

【A2】発注者から請負事業主に対して、作業工程の見直しや欠陥商品を製作し直すことなど発注に関わる要求や注文を行うことは、業務請負契約の当事者間で行われるものであり、発注者から請負労働者への直接の指揮命令ではないので労働者派遣には該当せず偽装請負にはあたりません。
 ただし、発注者が直接、請負労働者に作業工程の変更を指示したり、欠陥商品の再製作を指示したりした場合は、直接の指揮命令に該当することから偽装請負と判断されることになります。

【Q3】緊急時の指示
 災害時など緊急の必要により、請負労働者の安全や健康を確保するため、発注者が請負労働者に対して直接指示を行った場合、請負でなく労働者派遣事業となりますか。

【A3】発注者が、災害時など緊急の必要により、請負労働者の健康や安全を確保するために必要となる指示を直接行ったとしても、そのことをもって直ちに労働者派遣事業と判断されることはありません。

【Q4】請負事業主の管理責任者が作業者を兼任する場合、管理責任者が不在になる場合も発生しますが、請負業務として問題がありますか。

【A4】請負事業主の管理責任者は、請負事業主に代わって、請負作業場での作業の遂行に関する指示、請負労働者の管理、発注者との注文に関する交渉等の権限を有しているものですが、仮に作業者を兼任して通常は作業をしていたとしても、これらの責任も果たせるのであれば、特に問題はありません。
 また、管理責任者が休暇等で不在にすることがある場合には、代理の者を選任しておき、管理責任者の代わりに権限を行使できるようにしておけば、特に問題はありません。

【Q5】発注者が、請負業務の作業工程に関して、仕事の順序の指示を行ったり、請負労働者の配置の決定を行ったりしてもいいですか。また、発注者が直接請負労働者に指示を行わないのですが、発注者が作成した作業指示書を請負事業主に渡してそのとおりに作業を行わせてもいいですか。

【A5】適切な請負と判断されるためには、業務の遂行に関する指示その他の管理を請負事業主が自ら行っていること、自己の業務として相手方から独立して処理することなどが必要です。
 したがって、発注者が請負業務の作業工程に関して、仕事の順序・方法等の指示を行ったり、請負労働者の配置、請負労働者一人ひとりへの仕事の割付等を決定したりすることは、請負事業主が自ら業務の遂行に関する指示その他の管理を行っていないので、偽装請負と判断されることになります。
 また、こうした指示は口頭に限らず、発注者が作業の内容、順序、方法等に関して文書等で詳細に示し、そのとおりに請負事業主が作業を行っている場合も、偽装請負と判断されることになります。