新型コロナウイルス感染症における企業対策

令和2年2月25日  発行

新聞やTV等で連日、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19。以下「コロナウイルス」といいます。)についての報道がされていますが、企業における対策については、業種や企業規模によりバラつきがあるのが現状です。感染源が特定できない、いわゆる「市中感染」の懸念も強まってきており、企業としての現時点ならびに今後の対策を検討しておく時期にきていると考えられます。今月号では、コロナウイルスに対する企業の取り組みについて、Q&Aを交えて解説します。

【コロナウイルスの現在の位置づけ】

コロナウイルスは、2月1日付で感染症法に基づく指定感染症および検疫法に基づく検疫感染症に指定されており、重症急性呼吸器症候群(SARS)や鳥インフルエンザなどの「2類感染症」と同等の取り扱いを行うこととなっています。これにより、都道府県知事は、感染症法に基づき就業制限や入院の勧告等を行うことができます。(※ 労働安全衛生法上では就業禁止とはなっていません。)

【現時点で取り得る企業対策の行動例】

企業が取るべき行動は、企業規模や業種、職種、その他の事情(海外の拠点や取引先があるかどうか)に応じてさまざまですが、ここではどの企業でも検討・実施可能な行動例について挙げています。

《社員に対して指示・励行できる適切な行動例》 ※それぞれの項目について、事前にルールを決めて通達しておくのが望ましい。

● 正しい手洗いや手指のアルコール消毒(アルコールが60%~80%含まれている消毒液)を徹底する
 (外出先からの帰社時、帰宅時や不特定多数の者が触るような場所に触れた場合など)

● 通常の清掃に加え、ウイルスが付着し易い箇所(ドアノブ、スイッチ、手すり、ボタン等)を消毒剤等でふき取り清掃を行う

● 通勤・移動時のマスク着用の徹底(できる限り1日に1回~2回交換)

● 出勤前に発熱、咳などの症状が出た場合(同居家族含む)には出勤せず、自宅からまず電話連絡等を行う

● 勤務中に発熱、咳などの症状が出た場合には、すぐに申告させるように指示する

● 糖尿病や高血圧症、その他治療中の社員に対して、早めに主治医に発熱等を感じた場合の対応について相談するように促す

● 不要不急の外出を避ける 等

《コロナウイルスの感染リスクを低減する企業側の取り組み例》

● 時差出勤の励行・指示

● テレワークや在宅勤務制度、テレビ電話会議システムの活用

● サテライトオフィスの活用

● 感染者が出た場合の対応の検討(顧客、社員、社員の家族等が感染した場合の対応フロー、風評対策、メディア対応など) 等

【コロナウイルス対策に関するQ&A】

【Q1】社員がコロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか?

【A1】コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられ、休業手当を支払う必要はありません。

なお、休業させた期間については、一定の条件を満たせば「傷病手当金」が健康保険から支給されます。具体的には、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して4日目から、直近12カ月の平均標準報酬日額の2/3について傷病手当金により補償されます。

【Q2】社員が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。その場合も休業手当の支払いは必要ですか?

【A2】コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため社員が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱い、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。本人の希望で年次有給休暇を取得することも差し支えありませんが、会社が一方的に取得させることはできません。

一方、例えば熱が37.5度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に社員を休ませる措置をとる場合のように、会社の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。