TOP > 過労死の認定基準 (労務情報NO.97)

 

過労死の認定基準 平成14年5月25日 発行

今までは、仕事中にくも膜下出血や心筋梗塞で倒れた場合など、脳・心臓の疾患による死亡に対して労災が適用される(過労死として認められる)ケースは多くありませんでした。しかしながら、平成13年12月12日付で脳・心臓疾患の認定基準が緩和されたことにより、改正前では過労死と認められなかった事例が、新基準により過労死と認められて労災扱いとなるケースが増えてきています。今月号では、過労死の具体的な認定基準について解説します。

 

【 発症した脳や心臓の疾患が労災と認定される2つの前提 】

  1. 基礎疾患(もともと持病として持っていた病気)が日常生活の中で徐々に悪くなるのを超えて著しく悪くなっている。
  2. 著しく悪くなった原因が仕事によるものである。
0 仕  事 0 症状が著しく悪化して発症
基礎疾患 0 仕事以外の要因 0
0 自然に悪化 0
※ 仕事が有力な原因となって発症したと認められる場合に労災と認定されます。

 

【 脳・心臓疾患が労災とされる認定基準のフローチャート 】※(3)が改正により新たに追加された基準です。

仕事による過重な負担が明らか
(1)異常な出来事 (2)短期間の過重な仕事 (3)長期間の過重な仕事
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発症直前から前日までの間において、発症した状況(時間・場所)から明らかに異常な出来事に遭ったこと 発症に近接した時期において、特に過重な仕事をしていたこと 発症前の長期間にわたって、著しく疲労の蓄積をもたらす特に過重な仕事をしていたこと
●認定基準は発症前24時間以内 ●認定基準は発症前おおむね1週間 ●認定基準は発症前おおむね6ヶ月間
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・精神的負荷
→極度の緊張、興奮、驚がく等の
  強い精神的負荷を引き起こす突発的
  または予測困難な事態
  (例)仕事に関連した重大な人身事故
        や重大事故など

・身体的負荷
→緊急に強い身体的負荷を強いられ
  る突発的または予測困難な事態
  (例)事故の発生に伴う救助活動や
        事故処理などにより著しい身
        体的負荷を受けた場合など

・作業環境の変化
  →急激で著しい作業環境の変化
  (例)温度差のある場所への頻繁な
        出入りなど

(1)労働時間 (1)労働時間
・発症直前から前日までの間に
おいて特に過重な長時間労働
をしていた

・発症前おおむね1週間について
特に過重な長時間労働
をしていた

・発症前1〜6カ月間で、月45時間以内
の時間外労働の場合、仕事と発症の関
連性は弱くなります

月45時間を超えて時間外労働が長く
なるほど、関連性が強くなります

・発症前1カ月間に100時間又は2〜6
カ月間平均で80時間
を超える時間外
労働の場合、関連性は強いといえます

 
(2)不規則な勤務
(3)拘束時間の長い勤務
(4)出張の多い勤務
(5)交代制勤務・深夜勤務
(6)作業環境(温度環境、騒音、時差)
(7)精神的緊張を伴う勤務
 
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総 合 判 断  ( 基 礎 疾 患 の 程 度 な ど )
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業  務  上 業  務  外

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