平成15年5月1日より雇用保険法が改正され、主に給付の部分について大幅な見直しが行われる予定です。今月号では雇用保険法の主な改正点について解説します。
|
1.雇用保険料率の改正
|
→法律上は雇用保険料率を1000分の19.5(一般の事業の場合)とし、平成17年3月31日までは1000分の17.5に据え置かれます。(実質的に平成17年4月1日より雇用保険料率が引き上げられることになります)
|
|
2.基本手当の給付水準の引き下げ
|
【基本手当日額の算定方法(給付率)】
|
改 正 点 |
60歳未満 |
賃金日額の80%〜60% ⇒賃金日額の80%〜50% |
60歳以上65歳未満 |
賃金日額の80%〜50% ⇒賃金日額の80%〜45% |
|
|
【基本手当日額の上限額】
|
改 正 点 |
30歳未満 |
8,676円 ⇒ 6,580円(24%減) |
30歳以上45歳未満 |
9,642円 ⇒ 7,310円(24%減) |
45歳以上60歳未満 |
10,608円 ⇒ 8,040円(24%減) |
60歳以上65歳未満 |
9,640円 ⇒ 7,011円(27%減) |
|
※賃金日額:退職前6カ月間の賃金総額(残業手当および通勤手当を含む、賞与は除く)を180で割った金額。
※基本手当:一般的に失業給付と呼ばれているものであり、基本手当日額とはその1日当りの金額。
|
|
|
3.基本手当の所定給付日数
|
正社員とパートタイマー等(短時間労働被保険者)の所定給付日数が一本化され、今までのパートタイマー等の日数に短縮されます。 |
【 一般の離職者(自己都合退職、定年退職などの場合) 】
|
平成15年4月まで |
加入期間 |
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
一般被保険者 |
90日 |
120日 |
150日 |
180日 |
|
|
平成15年5月以降 |
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
90日 |
120日 |
150日 |
|
|
(注)倒産・解雇などによる退職者や障害者等の就職が困難な方々の所定給付日数は、年齢および被保険者であった期間により、現状維持または延長されます。
具体例 40歳、退職前の給与(月給)が42万円、入社後18年の正社員が自己都合で退職した場合
|
平成15年4月までの計算によると
14,000円(賃金日額)×60%=8,400円(基本手当日額)
8,400円×150日(所定給付日数)=1,260,000円
|
|
平成15年5月以降の計算によると
14,000円(賃金日額)×50%=7,000円(基本手当日額)
7,000円×120日(所定給付日数)=840,000円
|
|
|
4.高年齢雇用継続給付の改正点
|
|
平成15年4月まで |
支給 条件 |
60歳到達時賃金の85%未満に低下した場合に支給 |
支給額 |
【60歳後の賃金額が60歳時の賃金と比べて…】
(1)64%未満 → 60歳後の賃金の25%が支給
(2)64%以上 → 60歳後の賃金の25%から逓減
85%未満 された額が支給
(3)85%以上 → 支給されない
|
|
|
平成15年5月以降 |
60歳到達時賃金の75%未満に低下した場合に支給 |
【60歳後の賃金額が60歳時の賃金と比べて…】 (1)61%未満 → 60歳後の賃金の15%が支給 (2)61%以上 → 60歳後の賃金の15%から逓減
75%未満 された額が支給 (3)75%以上 → 支給されない |
|
|
※60歳後の賃金+支給額が支給限度額385,635円(H15.2.25現在)を超える部分については高年齢雇用継続給付は支給されません。
|