TOP > 年金制度改革(3) (労務情報NO.119)

 

年金制度改革(3) 平成16年3月25日 発行

117号、118号に引き続き年金制度改革の主なポイントを説明します。今回は「E在職老齢年金の見直し」、「F女性と年金(年金分割制度の導入)」、「G遺族年金、障害年金の見直し」についてです。

E在職老齢年金制度の見直し

※在職老齢年金とは? 60歳から老齢厚生年金をもらえる人が、60歳以降も働いて厚生年金に加入している場合に、会社から支払われる給料と賞与(総報酬月額相当額)に応じて老齢厚生年金がカットされるしくみです。
【改正の内容@】 ⇒ ★60歳から65歳になるまでの在職老齢年金の計算のしかたが変わります!★

  • 現在(2004年4月以降)のしくみでは、60歳以降も働いて厚生年金に加入している場合、老齢厚生年金(加給年金額を除きます)の20%が一律カットされています。さらに、残りの80%の額(基本月額といいます)と総報酬月額相当額※との合計が28万円を超えるときは、次の4通りの計算式で計算された金額が、一律20%カットに加えてカットされています。
基本月額 総報酬月額相当額 支 給 停 止 額
28万円以下 48万円以下 (総報酬月額相当額+基本月額−28万円)×1/2
48万円超 (48万円+基本月額−28万円)×1/2+(総報酬月額相当額−48万円)
28万円超 48万円以下 総報酬月額相当額×1/2
48万円超 48万円×1/2+(総報酬月額相当額−48万円))
※総報酬月額相当額:毎月の給料によって決まる標準報酬月額と、以前1年間に支払われた賞与を平均した額の合計です。
今回の改正により、2005(平成17)年4月以降は一律に20%の支給をカットする制度が廃止されます。
(一律20%カットがなくなると、給料や賞与によってカットされる老齢厚生年金の額が現在より少なくなります)
【改正の内容A】 ⇒ ★70歳以降も在職老齢年金の調整が行われます!★

  • 厚生年金に加入するのは70歳になるまでであり、現在は、70歳以降に働いたとしても給料や賞与に関係なく老齢厚生年金は全額もらえます。今回の改正により、2007(平成19)年4月以降は70歳以上の人についても、給料等と老齢厚生年金の合計額に応じて老齢厚生年金がカットされることになります。(ただし、保険料の負担はありません)

F女性と年金(年金分割制度の導入)

【改正の内容】 ⇒ ★離婚時に、結婚していた期間分の夫の厚生年金を妻に分割することができます!★

  • 2007(平成19)年4月以降、会社員の夫とその妻(夫と妻の立場が逆でもかまいません)が離婚した場合、離婚時に限って 夫の厚生年金の一部を妻に譲ることができるようになります。なお、分割割合は最大で50%を限度として、夫婦間の話し合いで決めることになります。(話し合いで割合が決まらない場合には、裁判所が判断します)

  • さらに、2008(平成20)年4月以降の第3号被保険者期間(専業主婦の期間など)については、離婚時に自動的に50%が 妻(夫)に分割されます。

G遺族年金、障害年金の見直し

【遺族厚生年金の改正の内容】(2007(平成19)年4月から)
  1. 遺族厚生年金と老齢年金を併せてもらう場合のもらいかたが変わります。(妻の老齢厚生年金は原則として全額支給)
  2. 子のいない30歳未満の妻への遺族厚生年金については、30歳になるまでは5年間の有期年金となります。

【障害厚生年金の改正の内容】(2006(平成18)年4月から)

  • 障害を持ちながら働いたことを評価するしくみとして、障害基礎年金と老齢厚生年金が併せてもらえるようになります。

| 戻る |

Copyright(C) 1998-2003 CommunicationScience Co.,Ltd All Rights Reserved