育児支援制度の拡充
平成17年8月25日 発行
健康保険・厚生年金保険の次世代育成支援に関する3つの制度、(1)『育児休業の保険料免除期間の延長』、(2)『育児休業の終了に伴う標準報酬月額の改定』、及び(3)『標準報酬月額の特例処置』が平成17年4月から施行されました。今月号では、この3つの制度について解説していきます。

(1)育児休業の保険料免除期間の延長
平成17年3月31日以前
平成17年4月1日から

育児休業を取得している社員は、申出があった月から最長で子が1歳になるまでの期間、社員及び会社双方の健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されていました。
        
育児休業を取得している社員は、育児休業を開始した月から最長で子が3歳になるまでの期間、社員及び会社双方の健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます。

【注意点】
  1. 社員の申出に基づき「育児休業等取得者申出書」を社会保険事務所または健康保険組合に提出します。
  2. 「子が1歳に達する日までの育児休業」、「1歳から16ヵ月に達する日までの育児休業」、「1歳から3歳に達する日までの育児休業に準ずる休業」に分けて、そのつど手続きが必要です。

(2)育児休業の終了に伴う標準報酬月額の改定
平成17年3月31日以前
平成17年4月1日から

育児休業終了後の標準報酬月額は、次の時期にだけ見直されていました。
  1. 毎年行われる定時決定時(年1回毎年9月に改定)
  2. 固定的賃金等の変動により報酬が著しく高低された場合に行われる随時改定時
育児休業終了日の翌日の属する月から3ヶ月間の標準報酬月額の平均が固定的賃金(基本給等)の変動に関わらず従前と差がある場合は、4ヶ月目から標準報酬月額を改定します。また、改定後は原則として次回の定時決定(年1回毎年9月に改定)まで適用されます。




【注意点】
  1. 従来は育児休業が終了し、職場復帰後に固定的賃金(基本給等)が著しく低下しなければ保険料の見直しは行われませんでしたが、この制度においては、固定的賃金以外(残業手当等)の低下に伴い賃金が下がる場合でも、保険料の見直しが行われます。
  2. 改定後の標準報酬月額は、原則、次回の定時決定(年1回毎年9月に改定)まで適用されることになります。
  3. この制度は子が3歳に達する前に育児休業を終了し、勤務時間を短縮して働くために給与に変動が生じる社員にも適用されます。

(3)標準報酬月額の特例措置(厚生年金保険のみ)
平成17年3月31日以前
平成17年4月1日から

3歳未満の子を養育し、勤務時間の短縮等の措置を受けながら働いている社員は、養育前と比べて標準報酬月額が低くなり、将来の受給年金額が不利になる場合がありました。
  
3歳未満の子を養育している期間については、保険料は実際の標準報酬月額に基づき決定されますが、年金額の計算については、養育する前の標準報酬月額と同じとみなすため、将来の受給年金額が不利になりません。


【注意点】
  1. 対象となるのは3歳未満の子を養育する社員(社員であった者も含む)ですから、育児休業の取得の有無や性別は問われません。なお、養育状態を証明するために戸籍謄本・住民票等の身分証明書と子の生年月日・同居関係等を証明できるものが必要となります。
  2. 養育開始前に厚生年金保険に加入していなかった場合は、1年以内に一番新しく改定された標準報酬月額が従前標準報酬月額となります。ただし、1年以内に厚生年金保険に加入している期間がない場合は、特例の対象となりません。
    ※「従前標準報酬月額」とは、子を養育し始める月の前月に使用された標準報酬月額のことをいいます。
  3. この特例措置は平成14年5月1日以後に生まれた子を養育している社員(社員であった者も含む)が対象になります。

(4)会社の対応について
「次世代育成支援」の制度はあくまで社員の申出に基づき対応するものですが、会社がこの制度を理解することにより、社員の届出漏れや不利益を防止できることはもとより、会社側にも保険料の免除や負担軽減といったメリットが生じます。

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