男女雇用機会均等法の改正について
平成19年2月25日 発行
少子高齢化による人口減少が進む中、性別にかかわらずその能力を十分に発揮できる雇用環境の整備が重要課題になっています。このような状況の中、雇用の分野における男女の均等な機会および待遇を確保するため、平成19年4月1日より男女雇用機会均等法が改正されます。今月号では改正点の主なポイントについて解説します。

1.改正前と改正後の比較
 
事 項 改正前 改正後
性別を理由とする差別の禁止 女性に対する差別的取扱いの禁止 男女双方に対する差別的取扱いの禁止
募集・採用、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・解雇について禁止 募集・採用、配置(業務の配分および権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練、福利厚生、職種の変更・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について禁止
間接差別の禁止(2を参照) 規定なし 厚生労働省令で定める措置(2を参照)については合理的な理由がない限り禁止
妊娠・出産・産休取得等を理由とする不利益取扱いの禁止等 婚姻・妊娠・出産を退職理由とする定めを禁止 婚姻・妊娠・出産を退職理由とする定めを禁止(変更なし)
婚姻・妊娠・出産・産休取得を理由とする解雇を禁止 婚姻を理由とする解雇を禁止(変更なし)
妊娠・出産・母性健康管理措置・母性保護措置・妊娠または出産に起因する能力低下等を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止
妊娠中・産後1年以内の解雇は事業主の反証がない限り無効
セクシュアルハラスメントの防止 女性労働者を対象とする事業主の雇用管理上の配慮義務 男女労働者を対象とする事業主の雇用管理上の措置義務
企業名公表 規定なし セクハラ対策や母性保護健康管理措置等の違反で是正勧告を受けたが、勧告に応じない場合に企業名公表が可能
過料 規定なし 報告をせず、または虚偽の報告を行った場合、20万円以下の過料

2.間接差別とは?

間接差別とは、「男性のみ」「女性のみ」などのように、直接的な差別ではありませんが、採用・募集等の際に女性(または男性)が満たしにくい要件を課すなど、間接的に男女を差別することをいいます。 間接差別の考え方は非常に幅広いため、今回の改正では次の3項目が禁止される間接差別として定められました。
(1)募集・採用にあたり、一定の身長、体重または体力を要件とすること
(2)コース別雇用管理制度における総合職の募集・採用にあたり、転居を伴う転勤を要件とすること
(3)昇進にあたり転勤経験を要件とすること
⇒ただし、これらの要件のうち職務と特に関連があるなど、合理的な理由がある場合には間接差別になりません。
※合理的理由があり均等法違反とならない例
(1)の例 警備員等の募集で、防犯上一定以上の体格、体力の者が必要
(2)の例 支店を全国に展開しており、総合職の社員には複数の地域の支店を経験させ幹部候補として育成している
(3)の例 地域により支店の特色が異なり、本社管理職には複数の地域の支店を経験させることが必要
注)定められた上記3項目以外の間接差別については均等法違反ではありませんが、裁判において、間接差別として違法と判断される可能性があるので、注意が必要です。

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