雇用保険法および健康保険法の改正について
平成19年3月25日 発行
昨年より労働や社会保険に関する法律の改正が相次いで審議され、改正された内容の一部がこの41日より実施されます。今月号では、41日からスタートする雇用保険法および健康保険法の改正内容について解説します。

雇用保険法の改正内容

◎雇用保険料の料率が引き下げられます。
  全体の保険料率 被保険者負担分 会社負担分
H19.3.31まで 一般の事業 19.5/1,000(失業等給付分16/1,000、雇用三事業分3.5/1,000) 8/1,000 11.5/1,000
建設の事業 22.5/1,000(失業等給付分18/1,000、雇用三事業分 4.5/1,000) 9/1,000 13.5/1,000
H19.4.1以降 一般の事業 15/1,000(失業等給付分12/1,000、雇用二事業分3/1,000) 6/1,000 9/1,000
建設の事業 18/1,000(失業等給付分14/1,000、雇用二事業分4/1,000) 7/1,000 11/1,000
※4月1日以降に支給される給与より、引き下げられた保険料率が適用されます。

健康保険法の改正内容

(1)4月分の保険料(5月末納付分)より、標準報酬月額の上限および下限が改定されます。
※厚生年金保険の標準報酬月額に変更はありません。
【下限】(単位:円)
改正前 改正後
等級 標準報酬月額 報酬月額 等級 標準報酬月額 報酬月額
第1級 98,000 〜100,999 第1級 58,000 〜62,999
第2級 68,000 63,000〜
72,999
第3級 78,000 73,000〜
82,999
第4級 88,000 83,000〜
92,999
第5級 98,000 93,000〜
100,999
  【上限】(単位:円)
改正前 改正後
等級 標準報酬月額 報酬月額 等級 標準報酬月額 報酬月額
第39級 980,000 955,000〜 第43級 980,000 955,000〜
1,004,999
第44級 1,030,000 1,005,000〜
1,054,999
第45級 1,090,000 1,055,000〜
1,114,999
第46級 1,150,000 1,115,000〜
1,174,999
第47級 1,210,000 1,175,000〜
(2)賞与における標準賞与額の上限額が改正されます。
※厚生年金保険の標準賞与額の上限額に変更はありません。
改正前 改正後
上限額:1回の支給につき200万円 上限額:同一の保険者において、各年度(4月1日から翌年3月31日)の
                 標準賞与の累計額が540万円
(3)入院時の高額療養費について、窓口での支払額が自己負担限度額まで(現物給付化)となります。
これまでは高額療養費に該当する場合でも、いったん窓口で3割の自己負担をしていましたが、4月以降は入院時に限り、保険者に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出して「認定証」の発行を受けた場合には、1つの医療機関における窓口での支払いは自己負担限度額までとなります。

複数の医療機関の合算や世帯合算をする場合には、従来どおりの手続き(3割自己負担のうえ、高額療養費で後日請求)が必要です。
上記の取り扱いは政府管掌健康保険のものです。健康保険組合については取り扱いが若干異なる場合があります。

(4)傷病手当金および出産手当金の支給条件が変更されます。
(A) 支給額の引き上げ(傷病手当金・出産手当金共通) ※標準報酬日額:標準報酬月額の30分の1相当額
  欠勤1日につき、標準報酬日額の6割を支給 欠勤1日につき、標準報酬日額の3分の2相当額を支給

(B) 任意継続被保険者への支給の廃止(傷病手当金・出産手当金共通)
 
これまでは、任意継続被保険者になった後に支給条件を満たした場合であっても、傷病手当金や出産手当金が支給されていましたが、4月以降は支給されなくなります。なお、出産育児一時金については従来通り支給されます。
 
改正法施行前日(平成19年3月31日)時点において傷病手当金・出産手当金の支給条件を満たしている場合や、実際に手当金の支給を受けている状態で、4月1日以降に退職し任意継続被保険者になる場合には、手当金は支給されます。

(C) 資格喪失後の出産手当金の支給廃止
 
これまでは、資格喪失後6カ月以内に分娩した場合、出産手当金が支給されていましたが、4月以降は支給されなくなります。なお、出産育児一時金については従来通り支給されます。
 
すでに退職しており、改正法施行前日(平成19年3月31日)に出産予定日以前42日を迎えている場合には、資格喪失後の出産手当金は支給されます。

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