健康診断に関するQ&A
平成19年4月25日 発行
会社は社員の健康確保を図るため、常時使用する者について「雇入時の健康診断」および1年以内ごとに1回、「定期健康診断」を行わなければなりません。健康診断の結果、異常が認められた社員には、健康保持のために必要な措置について医師の意見を聞き、必要な事後措置を講じる必要があります。今月号では健康診断に関して寄せられる質問をQ&Aで解説します。

定期健康診断とその後の流れ


Q1. 採用が決まる前に、面接の段階で応募者から健康診断書の提出を求めたり、健康診断を受けさせることは問題がありますか?

A. 就職差別につながる恐れがあるため、採用が決まる前に健康診断書を提出させたり、健康診断を受けさせることは問題があります。

雇入時の健康診断は、常用労働者を雇い入れた際の適正配置、入社後の健康管理に役立てるために行なうものであって、採用選考時に実施することを義務付けたものではありません。
採用選考を目的として、健康診断の検査項目について必要性を検討することなく、画一的に健康診断を受けさせたり、健康診断書の提出を求めることは、応募者の適性と能力を判断する上で関係のない個人情報を得ることになります。
実際には、面接の段階で健康診断書を提出させたり、「健康に関する告知書」なるものを用意し、うつ病や精神的な病気にかかった経歴を書かせる会社もあるようですが、人権問題に発展するおそれがありますので注意が必要です。


Q2. パートタイマーなどの短時間労働者でも「常時使用する労働者」であれば健康診断を行う必要がありますが、この「常時使用する労働者」とは?

A. 健康診断を実施すべき「常時使用する労働者」とは、次の(1)と(2)のいずれの要件も満たす場合としています。

(1) ⅰ.期間の定めのない契約により使用される者であること。
ⅱ.期間の定めのある契約により使用される者は、更新により1年以上使用されることが予定されている者、および更新により1年以上使用されている者であること。
深夜業や坑内労働など、特定の業務に従事させる場合は、6カ月以上使用されることが予定され、または更新により6カ月以上使用されている者であること。
(2) その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
(1)のみに該当する場合でも、週の所定労働時間数が同種の業務に従事する通常の労働者のおおむね2分の1以上である者は、健康診断を実施することが望ましいとされています。

Q3. 営業時間が午後11時までの店舗で働かせる場合は、午後10時から午後11時までの1時間が深夜業にあたるため、1年に2回の定期健康診断を受けさせなければならないのでしょうか?
    A. Q2の常時使用する労働者に該当するか否かにかかわらず、深夜業を含む業務に※常時従事する労働者であって、深夜業の回数が6カ月間を平均して1カ月に4回(したがって、6カ月に24回)以上の者には、配置替えの際および6カ月以内ごとに1回、つまり、年に2回の健康診断を受けさせなければなりません。

  ここでいう「深夜業」とは、午後10時から午前5時までの間における業務をいいます。
したがって、午後11時まで営業する店舗では、必ず1時間の深夜業が発生します。
 
たとえ1時間であろうと、勤務時間の一部が深夜業(午後10時〜午前5時)に食い込んでしまう回数が上記の回数以上ある場合には、6カ月以内ごとに1回の健康診断を受けさせる必要があります。
  常時従事するとは、週に1回でも2回でも、10分でも1時間でも、ローテーション等で必ず深夜業をしなければならない状態にあることをいいます。なお、臨時的に深夜業に従事する場合(所定勤務時間が午前9時から午後6時までの者が午後10時を過ぎて残業した場合など)は、常時従事するものではありません。

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