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在宅勤務に関するQ&A
平成19年5月25日 発行
労働者がパソコン等の情報通信機器を用いて、労働時間の全部又は一部について自宅で業務を行う在宅勤務は、通勤負担の軽減等の理由から次世代のワークスタイルとして期待されています。今月号では、在宅勤務についてQ&Aを交えて解説します。
在宅勤務のメリットとデメリット
メリット |
デメリット |
(1)業務の生産性・効率性の向上
(2)仕事と家庭の両立
(3)オフィスコストの削減
(4)通勤による肉体的・精神的な疲労の減少 |
(1)労働時間の把握が困難(仕事と私生活の切り分けが難しい)
(2)情報漏えいの危険性
(3)労働者の評価が困難
(4)コミュニケーションの機会の減少 |
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労働基準関係法令の適用及びその注意点
在宅勤務者に対しても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されます。
1.労働基準法上の注意点
@) |
労働契約を締結する際に、就業の場所として労働者の自宅を明示しなければなりません。 |
A) |
労働者の勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ない勤務形態であることから、一定の場合には、※事業場外みなし労働時間制を適用することができます。(Q3参照) |
※事業場外みなし労働時間制とは、労働時間の全部あるいは一部を事業場外で労働する労働者について、その労働時間の算定が困難な場合に、所定労働時間労働したものとみなす制度です。 |
2.労働安全衛生法上の注意点
事業主は通常の労働者と同様に在宅勤務者についてもその健康を維持する必要がありますので、健康診断や安全衛生教育を行う必要があります。
また、在宅勤務はパソコン等による作業(いわゆるVDT(Visual Display Terminal)作業)となるケースが多いため、事業主が作業場所の照明や作業時間といった作業環境についても留意する必要があります。(具体的な内容はガイドラインで示されています) |
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在宅勤務に関するQ&A
【Q1】在宅勤務中のケガや病気は労災保険の業務災害として認められるのでしょうか。 |
【A1】業務が原因である災害については、業務災害として労災保険の給付の対象となります。したがって、自宅における私的行為が原因である場合は、業務災害とはなりません。 なお、在宅勤務の場合、業務と私生活の区別がつきにくいため、業務災害の判断材料として以下の点に注意を払うことが必要です。 |
(1) |
仕事をしている時間と私的な時間を明確に区別すること |
(2) |
勤務時間や業務について適時適切に会社に報告すること |
(3) |
作業場所を特定すること |
【Q2】在宅勤務時の電気代や通信費用の負担はどのようにすべきでしょうか。 |
【A2】在宅勤務によって発生する費用の負担をどのようにするかについては、あらかじめ労使間で十分に話し合い、定めておくことが必要です。 文具、備品、宅配便といった費用も必要となってくることがありますので、事業主が費用を負担する場合はその限度額や請求方法を労働者にわかりやすく就業規則等に定めておくことが望まれます。 なお、在宅勤務者に費用の負担をさせる場合には就業規則に定めなければなりません。 |
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【Q3】情報通信機器を活用した在宅勤務者に事業場外みなし労働時間制を適用することができる「一定の場合」とはどのような場合でしょうか。 |
【A3】労働時間の算定が困難な在宅勤務者は、以下の基準を満たす場合に事業場外みなし労働時間制を適用することができます。 |
(1) |
業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること |
(2) |
情報通信機器が、事業主の指示により常時通信可能な状態にしておくこととされていないこと |
(3) |
業務が、随時事業主の具体的な指示に基づいて行われていないこと |
法定労働時間を超える定めをした場合は、労使協定を労働基準監督署へ届け出なければなりません。 |
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※詳細につきましては、当事務所までご連絡ください。
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