Q.1 |
不採用者の履歴書などの応募書類は返却しなければならないのか? |
A. |
不採用者に応募書類を返却することを義務付ける法律はないため、返却を求められた場合でも、それに応じる義務はありません。
預かった応募書類は求めに応じて返却するか、または、応募の段階で不採用となった場合にはシュレッダーで処分することについて了解を得ておくことが望ましいでしょう。
会社が所有する個人情報は、個人情報保護法により利用・管理などに関するルールが次のとおり定められています。
個人情報保護法の個人情報取り扱い事業者(所有する個人情報の数が5,000人分を超えた日が過去6カ月に1日以上あること)に該当する場合には、個人情報の利用・管理などを適正に行う義務を負い、それに該当しない会社にも努力義務が課されています。 |
そのため、不要となった個人情報についても目的外利用は許されず、その個人情報データの削除請求や消去請求にも応じなければなりません。 |
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Q.2 |
求人広告に載せた賃金などの労働条件を、雇用契約を結ぶ際に変更することができるか? |
A. |
雇用契約の内容が確定するのは、雇用契約を結ぶ時です。したがって、求人票や求人広告、会社説明会などで提示された労働条件の内容と雇用契約時の内容が異なっていたとしても、直ちに違法とはなりません。
しかし、募集の段階で提示された労働条件の内容と雇用契約時に明示された労働条件の内容が、合理的な理由もなく異なっていることは問題です。 募集時に提示した労働条件を下回る労働条件で採用することは、信義則に反するとされています。 求人広告などに、中途採用でも大学卒業年次が同じで、卒業と同時に入社した者と同等の待遇を受けられると思わせるような説明をし、それを信じて入社した中途採用者に対して、精神的衝撃を与えたことは信義則に反するとして、会社に慰謝料100万円を支払うよう命じた判例もあります。 |
したがって、募集時に提示した賃金額よりも下がる場合には、雇用契約を結ぶときに合理的な理由を述べて説明しなければならず、説明できない場合には、会社は募集時に提示した賃金額を支払わなければなりません。 |
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Q.3 |
部長として中途採用したが、実際は部長としての能力がないことが判明した場合は解雇することはできるか? |
A. |
部長職など上級管理職に期待される特定の知識、能力を有することを雇用契約の条件としている場合は、その能力がないことを理由とする解雇が有効と認められる傾向にあります。
ただし、この場合でも、即戦力として期待した中途採用者の発揮するべき能力やノルマ、達成するべき目標が具体的かつ明確に雇用契約の内容として定められていなければなりません。
中途採用者への期待が会社側の一方的なもので、雇用契約の内容として明確にされていなかった場合は、会社は、まず他の職種やポストに配置転換することを考えなくてはなりません。 |
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Q.4 |
派遣されてきている派遣スタッフを、派遣期間の途中で自社の社員として雇用することはできるか? |
A. |
派遣スタッフが同意している場合であっても、派遣契約の途中で、派遣元会社の同意を得ずに派遣先会社がその派遣スタッフを自社の社員として雇用することは、派遣契約に反する行為であり、認められません。
ただし、派遣契約終了後であれば、派遣先会社が派遣スタッフを自社の社員として雇用することは可能です。
また、派遣先会社、派遣スタッフ、派遣元会社の3者が合意の上で、派遣期間を途中で短縮して派遣契約を終え、その後に派遣先会社が派遣スタッフを直接雇用することも可能です。 |
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Q.5 |
採用選考(面接)時に注意しなければならないことは? |
A. |
社員を採用する際に、選考の過程で書類を提出させたり、面接で様々な質問をしますが、この部分については法律や行政指導などで「業務の目的達成に必要な範囲内での個人情報の収集」に限られていることに注意が必要です。
提出が制限される書類や、面接時に質問してはいけない事項は次のとおりです。
【提出が制限される書類】 |
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戸籍謄(抄)本 |
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住民票(採用時に住民票記載事項証明書を提出させることは可能です) |
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生活環境(生い立ち、家族等)、人生観、生活信条に関する作文 など |
【面接時に質問してはいけない事項】 |
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女性だけにされる質問(結婚・出産後も働き続けるかどうかなど) |
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本籍・出生地、家族、住宅状況、宗教、支持政党、生活信条、人生観、社会運動、購読新聞・愛読書等に関する質問 など |
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