請負・業務委託に関する基準について
平成19年12月25日 発行
最近の厳しい経済状況やIT環境の発展などを反映して、パートタイマー・アルバイト・派遣労働者などの非正規労働者や、請負・業務委託による外部労働者を活用する企業が増えています。これにともない、偽装請負(形式が請負・業務委託であっても、実態は労働者派遣と判断されるもの)が社会問題となっています。今月号では請負・業務委託と認められるための基準について解説します。

労働者派遣と請負・業務委託の違い

請負・業務委託と認められる基準

★請負・業務委託と認められるためには、2つの項目について、下記のすべての条件を満たしていることが必要になります。
1.自己の雇用する労働者の労働力を、自ら直接利用するものであること
判断項目 具体的な判断基準の例
@ 労働者の業務遂行に関する指示その他の管理を自ら行うこと
受託者が、一定期間において処理すべき業務の内容や量の注文を注文主から受け、その業務を処理するのに必要な労働者数などを自ら決定して、必要な労働者を 選定し、受託した内容に沿った業務を行っている。
労働者が、注文主からその都度業務の遂行方法について指示を受けることがないよう、受託するすべての業務に対して、業務内容や業務量、業務遂行上の連絡体制などについての書面を作成し、受託者が具体的に指示している。
A 労働者の業務遂行に関する評価等にかかる指示その他の管理を自ら行うこと
受託者が、受託者側の管理責任者を通じて労働者や注文主からヒアリング・打ち合せした内容を活用し、労働者の業務遂行についての評価を自ら行っている。
B 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(単なる把握は除きます)を自ら行うこと
受託業務の始業・終業時刻、休憩時間、休日等については、事前に受託者と注文主で打ち合せ、業務中は注文主から直接指示を受けることがないよう書面を作成し、それに基づいて受託者側の現場責任者が具体的に指示している。
C 時間外、休日労働をさせる場合の指示その他の管理(単なる把握は除きます)を自ら行うこと
受託業務の業務量の増加に伴う、労働者の時間外・休日労働は、受託者側の現場責任者が業務の進捗状況等を見て決定し、指示を行っている。
D 服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと
職場秩序の保持、風紀維持のための規律等の決定、指示を受託者が自ら行うほか、勤務場所での規律、服装、勤務態度等の管理を受託者が自ら行っている。
E 配置等の決定および変更を自ら行うこと
受託者が、注文主の就業場所における自らの労働者の配置を決定している。
2.契約により請負った(受託した)業務を、自己の業務として相手方から独立して処理するものであること
判断項目 具体的な判断基準の例
@ 業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること
資金についての調達および支弁の方法は特に問わないが、事業運転資金等はすべて自らの責任で調達し、かつ、支弁していることが必要。
A 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと
受託業務の処理により、注文主および第三者に損害を与えたときは、受託者が損害賠償の責任を負う旨の規定を契約上定めている。
B 次のイまたはロのいずれかに該当するものであって、単に肉体的な労働力を提供するものではないこと
イ. 自己の責任と負担で準備し、調達する機械や設備、器材(業務上必要な簡単な工具は除きます)、材料等により、業務を処理すること
ロ. 自ら行う企画または自己の有する専門的な技術・経験に基づいて、業務を処理すること
注文主からの原材料、部品等の受け取りや、受託者から注文主への製品の受け渡しについて伝票等による処理体制が確立されている。
注文主の所有する機械、設備等の使用については、請負(業務委託)契約とは別個の双務契約を締結しており、保守および修理を受託者が行うか、その経費を受託者が負担している。
受託者が自ら企画し、または受託者が企業体として有する専門的な技術・経験に基づいて業務が処理されている。

| 戻る |

Copyright(C) 1998-2007 CommunicationScience Co.,Ltd All Rights Reserved.