特定健康診査および特定保健指導について
平成20年5月25日 発行
平成20年4月から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の早期発見と予防を目的として、特定健康診査および特定保健指導を行うことが医療保険者(健保組合、政管健保等)に義務づけられました。そこで今月号は、新たな健診の内容と定期健康診断等項目の改正について解説します。

特定健康診査

 特定健康診査は、メタボリックシンドロームに着目した健康診査です。内臓脂肪の蓄積が原因となることが多い生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症など)の予防を目的としています。
(1) 対象者
医療保険加入者のうち、特定健康診査の実施年度中に40〜74歳になる者で、かつ、その年度の1年を通して加入している者。
妊産婦その他の厚生労働大臣が定める者(刑務所入所中、海外在住、長期入院等)を除きます。
なお、会社は今までと同様に定期健康診断等の実施義務があり、定期健康診断等には特定健康診査の項目が含まれているため、改めて特定健康診査を受けさせる必要はありません。定期健康診断等の記録を会社が加入する医療保険者に提出すれば、特定健康診査を実施したことになります。(また、医療保険者が実施する健康診断等を受け、その結果が医療保険者にも送付される場合は、改めて結果を提出する必要もありません。)
(2) 実施内容
全員を対象に実施される基本の検査項目
既往歴の調査、自覚症状および他覚症状の有無の検査、身長・体重および腹囲の検査、BMIの測定、血圧測定、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査
医師の判断により追加される詳細な検査項目
貧血検査、心電図検査、眼底検査                              ※BMI:体重(s)/身長(m)

特定保健指導

 医療保険者は、特定健康診査の結果に基づいて次の(1)から(3)の特定保健指導を行います。
(1) 情報提供
特定健康診査を受診した者全員に健康診査の結果と併せて健康の保持・増進に役立つ情報を提供します。
(2) 動機づけ支援(メタボリックシンドローム予備群と判定された者)
面接による支援
医師、保健師または管理栄養士の面接により、自らの生活習慣で改善すべき点を自覚させ、目標を立てて行動に移せるよう支援します。
6カ月後評価
6カ月経過後に身体状況や生活習慣に変化がみられたかどうか実績評価を行います。
(3) 積極的支援(メタボリックシンドロームと判定された者)
面接による支援
継続支援
食事、運動などの生活習慣を改善するため、専門家による3カ月以上の継続的な支援をします。
6カ月後評価
<支援対象者のグループ分け>

血糖: 空腹時血糖値が100mg/以上またはHbA1cが5.2%以上
  脂質: 中性脂肪150mg/以上またはHDLコレステロール40mg/未満
  血圧: 収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上

定期健康診断等の項目の改正

 労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の項目が平成20年4月1日から改正されました。
《健康診断項目の追加・変更》
雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断および海外派遣労働者の健康診断項目が次の通り見直されました。
@ 腹囲の検査を追加
A 血中脂質検査のうち、血清総コレステロールを低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)に変更
《健康診断項目の省略基準》
定期健康診断および特定業務従事者の健康診断項目の省略基準が次の通り策定、変更されました。
@ 腹囲の検査の省略基準
1.40歳未満の者(35歳を除く)
2.妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者
3.BMIが20未満の者
4.BMIが22未満で、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者
A 尿糖の検査の省略基準を削除し、必須化

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