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労働基準法改正のポイント
平成21年2月25日 発行
平成22年4月1日から労働基準法の一部を改正する法律が施行されます。この改正は、長時間労働を抑制することで健康の維持や仕事と生活の調和を図ることを目的としており、主に労働時間にかかる制度が見直されています。そこで、今月号では労働基準法の改正点を解説します。
時間外労働の割増賃金率の引き上げ
@ |
1か月60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が現行の25%から50%に引き上げられます。 |
※ |
ただし、下記の中小企業は当分の間、25%から50%への引き上げは猶予されます。 (施行から3年経過後に改めて検討されます。) |
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@資本金の額または出資の総額 |
または |
A常時使用する労働者数 |
小売業 |
5000万円以下 |
50人以下 |
サービス業 |
5000万円以下 |
100人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
その他 |
3億円以下 |
300人以下 |
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A |
1か月に60時間を超える時間外労働を行った場合、労使協定を締結すれば、上記@による引き上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を付与することができます。付与単位や期間などの詳細は改正法の施行前までに厚生労働省令で定められます。 |
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割増賃金の引き上げ等の努力義務
● |
企業の規模にかかわらず、限度時間※1(1か月45時間)を超える時間外労働を行う場合 |
1. |
現行では特別条項付きの時間外労働協定(36協定)を締結する必要がありますが、改正法では新たに1か月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めなければなりません。 |
2. |
上記1の割増賃金率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めなければなりません。 |
3. |
1か月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めなければなりません。 |
※1 |
限度時間は、法定の労働時間を超えて延長することができる時間数を示したもので、労働基準法に基づく時間外労働の限度に関する基準において定められています。(1週間15時間、1か月45時間、1年間360時間) |
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割増賃金の種類と割増率
種類 |
支払う条件 |
割増率 |
@時間外労働 (1日8時間または1週間40時間を超える労働 |
1か月45時間まで |
25%以上 |
1か月45時間を超え60時間まで |
36協定(特別条項付き)で定める率 |
1か月60時間を超えるとき(猶予される中小企業を除く) |
50%以上 |
A休日労働 |
法定休日(週1日)に勤務させたとき |
35%以上 |
B深夜労働 |
22時から5時までの間に勤務させたとき |
25%以上 |
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時間単位での年次有給休暇の取得
● |
企業の規模にかかわらず、1年に5日分を限度として時間単位で年次有給休暇を取得することができるようになります。 この制度を導入するかどうかは企業の任意であり、導入する場合は労使協定を結び下記の事項を定める必要があります。 なお、詳細は改正法の施行までに厚生労働省令で定められる予定です。 |
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1) |
年次有給休暇を時間単位で付与することができる労働者の範囲 |
2) |
時間単位で付与する日数(最大5日) |
3) |
その他厚生労働省令で定める事項 |
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