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休業手当の算定と支払いの実務
平成21年4月25日 発行
2008年秋から引き続く不況の影響で、休業せざるを得ない会社も多いようです。経営不振で一時帰休する場合など、「使用者の責に帰すべき事由による休業」には休業手当の支払いが必要です。今月号では休業手当の算定から支払いまでを、計算例を交えて解説します。
【休業手当の原則的な算定方法】
●算定事由発生日以前3カ月間とは
算定事由の発生した日は含まず、その前日からさかのぼって3カ月間です。
ただし、賃金の締切日がある場合には、直前の賃金締切日以前3カ月間のことをいいます。
算定期間から除外される期間 |
賃金総額から除外される賃金 |
○ |
業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間 |
○ |
産前産後休業期間 |
○ |
育児休業期間、介護休業期間 |
○ |
会社都合による休業期間 |
○ |
試用期間 |
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○ |
臨時に支払われた賃金 (慶弔見舞金など) |
○ |
3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金 (賞与など) |
○ |
通貨以外のもので支払われた賃金のうち一定範囲のもの |
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通勤手当、皆勤手当、時間外手当などの諸手当を含み、税金、社会保険料などを控除する前の額(額面総額)です。 |
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日給制、時給制、出来高払い制、請負制などの労働者には、例外的な平均賃金の算定方法も設けられていますが、例外については、労務情報 平成20年11月25日号(bP75)をご覧ください。 |
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【1カ月間休業する場合に支払う休業手当】
例えば、毎週土日を所定休日とする会社では、1カ月間に8日以上の所定休日があることになりますが、この休日は就業規則等で労働を免除された日であり、「使用者の責に帰すべき事由による休業」にはなりません。このため、1カ月間すべて休業する場合は、その月の所定労働日数分の休業手当を支払えばよく、所定休日の分まで休業手当を支払う必要はありません。
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6月の1カ月間休業させる場合の計算例
前提条件
・6月1日以前3カ月間に支払われた賃金総額 920,000円
・総暦日数 92日、賃金締切日 末日 (3月=31日、4月=30日、5月=31日)
・平均賃金の日額 10,000円
・休業手当の日額 6,000円以上(平均賃金の60%以上)
・6月の所定労働日数 22日
【6月分として支払うべき休業手当の額】
6,000円(以上) × 22日 = 132,000円(以上)
なお、月給制の対象者に休業手当を支払う場合は、ノーワーク・ノーペイの原則から、その休業日について就業規則等に定められた控除の方法で休業日数分の賃金を控除できます。
ただし、休業した場合に控除できる賃金が就業規則等で限定されている場合、例えば、基本給のみが控除の対象とされている場合は、基本給以外の手当などは控除できません。 |
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【休業手当の支払い期限】
休業手当は労働基準法上の賃金にあたります。このため、休業期間の属する賃金算定期間について決められた支払日に支払う必要があります。
例えば、賃金算定期間が「毎月1日から月末まで」、支払日が「翌月15日」の会社の場合、当月1日から月末までの休業に対する休業手当は、翌月の15日までに支払えばよいことになります。 |
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