Q.1 1日のうちの一部を休業する場合も、休業手当の支払いは必要ですか?
A. 賃金が平均賃金の6割以上支給されていれば、休業手当の支払いは必要ありません。
会社の都合で社員を休業させる場合には、1日あたり平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければなりませんが、1日の所定労働時間の一部を休業した場合であっても、このルールは変わりません。
【例:1日の所定労働時間が8時間で、平均賃金が12,000円の場合】
⇒休業手当は12,000円×60/100=7,200円/1日以上
@1日8時間のうち5時間勤務させた場合
→実労働時間に対する賃金として7,500円が支払われ、その額が休業手当の額を上回っているため、休業手当は不要です。
A1日8時間のうち4時間勤務させた場合
→実労働時間に対する賃金が6,000円となり、休業手当の額を下回るため、差額の1,200円の支払いが必要になります。
※時給1,500円で計算しています。 |
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Q.2 業績悪化を理由に関連会社に出向させる場合の注意点は?
A. まず、就業規則などに根拠となる規定が必要となります。
出向とは、雇用関係を維持したまま他の会社(出向先)で勤務を行うことをいいます。
出向を行う場合には、社員の同意を得ることが必要ですが、個別の同意までは求められていません。
就業規則などに根拠となる規定があり、その就業規則を周知しておけば、包括的な同意が得られているものとして出向を命じることができます。
ただし、出向先で賃金が減額になるなど、労働条件が悪くなる場合には包括的同意だけでは足りず、個別の同意が必要になります。また、転籍の場合にも個別の同意が必要です。 |
Q.3 業績悪化に伴い、配置転換を行うことはできますか?
A. 職種や勤務地が限定されている場合には、個別の同意が必要となります。
配置転換(以下、配転)は、Q2の出向と同様、包括的同意があれば行うことができます。ただし、職種や勤務地を限定して採用している社員を他の職種や別の場所に配転する場合には、そのつど本人の同意を得なければなりません。
また、包括的同意があっても業務上の必要がない配転や、目的が不当な場合、あるいは配転による不利益の程度が著しい場合には、権利濫用として無効になることがあります。 |
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Q.4 会社の都合で労働条件を引き下げることは可能ですか?
A. 会社が一方的に労働条件を引き下げることはできません。
労働条件は会社と社員が結ぶ労働契約の内容となるものですから、原則として、社員の個別の同意を得られない限り、会社が一方的に労働条件を引き下げることはできません。
ただし、会社が就業規則を変更して労働条件を引き下げる場合でも、その変更に合理性があると認められれば、同意しない社員にも変更後の就業規則を適用できるものとされています。
※参考【労働条件を引き下げる際の合理性の判断基準】
@就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度
A使用者側の変更の必要性の内容・程度
B変更後の就業規則の内容自体の相当性
C代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況
D労働組合等との交渉の経緯
E他の労働組合または他の従業員の対応
F上記事項についての社会における一般的状況 |
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Q.5 業績悪化を理由に賃金カット(給与水準の引き下げ)は可能ですか?
A. 賃金カットを行う場合には、慎重な対応が必要です。
賃金は社員にとって生活の糧であり、労働条件の中でも特に重要なものとなるため、上記の判断基準よりも厳しく判断されます。このため賃金カットは、まず社員の個別の同意がなければ認められないと考えたほうがよいでしょう。
単に会社の業績が悪化しているという事情だけでは足りず、その他の対応を含めて総合的に判断されることになります。
【会社として賃金カットを行う前に行っておくべき対応の例】
●人件費以外の経費の削減
●会社資産の売却
●役員報酬の見直し
●残業時間の短縮
●配置転換や出向の実施
●希望退職の募集
●新規採用、中途採用の停止
●昇給の停止 など |
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