女性労働者の保護に関する基礎知識
平成22年2月25日 発行
女性の社会進出に伴い、女性労働者が企業で活躍する機会が増えています。母性保護の観点から女性労働者は労働法上特に保護されていますが、社会的な認知度はまだ低いようです。3月8日は国際婦人デーということもあり、今月号は女性労働者の保護に関する基本的な事項を解説します。

妊娠中・出産後の法律関係

産前・産後休業
6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性から産前休業を請求されたときは、その女性を働かせることはできません。
原則として、産後8週間以内(産後休業)の女性を働かせることはできません。ただし、産後6週間経過後に本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは可能です。なお、たとえ本人が働きたいと言っても産後6週間以内の女性を働かせることはできません

解雇制限
産前産後休業中およびその後30日間は、どのような理由であってもその女性を解雇することはできません
妊娠中および出産後1年を経過しない女性を解雇する場合、会社が妊娠・出産・産前産後休業を取得(請求も含まれます)したことを理由とする解雇でないことを証明しなければ、解雇は無効とされます。

通院休暇・育児時間
妊娠中および出産後1年を経過しない女性から請求されたときは、(表1)の回数の通院休暇を与えなければなりません。
医師や助産師が(表1)と異なる指示をしたときは、その必要な時間を確保できるようにしなければなりません。
1歳に満たない乳幼児を育てる女性から請求されたときは1日2回各々30分以上の育児時間を与えなければなりません。
(1日の労働時間が4時間以内であれば、1日1回の付与でかまいません。)
(表1)
妊娠23週まで 4週間に1回
妊娠24〜35週 2週間に1回
妊娠36週〜出産 1週間に1回
産後1年以内 医師や助産師が
指示する回数

妊娠中・出産後の女性の労働形態
妊娠中の女性から請求されたときは、他の軽易な作業へ転換しなければなりません。
新たに軽易な業務を創設する必要はありません。同じ業務内での重労働部分を外す仕事量を減らす等の対応も考えられます。)
妊娠中または産後1年以内の女性から請求されたときは時間外労働、休日労働または深夜労働をさせることはできません。
(変形労働制(フレックス制を除く)を採用していても、請求があれば1日8時間・1週40時間を超えて働かせることはできません。)
妊娠中や出産後の症状に関し、医師等の指導を受けた旨の申出があれば、その指導に基づき、時差出勤、休憩時間の延長、休憩回数の増加、作業の制限、勤務時間の短縮、休業(妊娠障害休暇)等の措置を実施
妊娠中または産後1年以内の女性に、著しい振動を伴う業務を行わせることはできません。
妊娠中または申出を行った産後1年以内の女性には、著しく暑熱な場所での業務など、一定の業務を行わせることはできません。
※ 産前産後休業、通院休暇や育児時間は、就業規則等の定めにより無給としてもかまいません。
なお、育児休業につきましては、労務情報No.182(平成21年6月25日号)をご覧ください。

女性の就業制限

 次の@、Aの業務は、全ての女性に対して禁止されています。
@ 重量物を扱う業務(具体的な重さは(表2)の通りです。)
A 一定の有害ガス、粉塵等を発散する場所での業務

(表2)
年齢 重量
断続作業の場合 継続作業の場合
16歳未満 12kg 8kg
16歳以上18歳未満 25kg 15kg
18歳以上 30kg 20kg

生理休暇

 生理日の勤務が困難な女性から休暇を請求されたときは、その女性を生理日に働かせることはできません。この場合、特別の証明がなくても生理休暇を認めなければならず、証明を求める場合は同僚の証言程度の簡単なものとすることが望ましいとされています。

 生理休暇は必ずしも暦日単位で与えなければならないものではありません。半日または時間単位で請求されたときは、その範囲で与えればかまいません。また、生理休暇は就業規則等の定めにより無給としてもかまいません。

深夜業

女性を深夜に働かせるときは、通勤や業務を行う際の安全を確保するために必要な措置を講ずるように努めなければなりません

| 戻る |

Copyright(C) 1998-2010 CommunicationScience Co.,Ltd All Rights Reserved.