改正雇用保険法のポイント
平成22年4月25日 発行
昨年に引き続き今年も雇用保険法が改正されました。3月31日に改正法が国会を通過し、今年度もすべりこみで4月1日から施行できたようです。今月号は「雇用保険の適用範囲の拡大」を中心に改正項目のポイントを解説します。

1.雇用保険の適用範囲の拡大 【2010年4月1日施行】

 短時間就労者(パートタイマーなど)や派遣労働者に対する雇用保険の適用基準が、次のように拡大されました。

【旧適用基準】
6カ月以上の雇用見込みがあること
       かつ
1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること
【新適用基準】
31日以上の雇用見込みがあること
       かつ
1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること

※ 短時間就労者とは、1週間の所定労働時間が通常の社員よりも短く、かつ40時間未満のパート、アルバイト等のことです。

「31日以上の雇用見込みがあること」とは

31日未満の期間を定めて雇用するときでも、31日以上雇用を継続しないことが明らかでない限りこの要件にあてはまる
ことになります。このため、次のケースでは雇用保険の被保険者として取り扱います。
○ 雇用契約書に「更新する場合がある」という定めがあり、31日未満での雇止めの明示がないとき
○ 雇用契約書に更新規定はないが、同様に雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき

2010年4月1日以降の取扱い

@ 4/1以降に雇用した場合
●雇用契約期間が31日未満であっても、31日以上雇用を継続しないことが明らかでない限り、雇入れ時から雇用保険に加入

A 4/1以前から雇用している場合
4/1以降の雇用契約期間が
31日以上の場合
●4/1以降の雇用契約期間が31日以上なので、4/1から雇用保険に加入

4/1以降の雇用契約期間が
31日未満の場合
●4/1以降の雇用契約期間が31日未満であっても、その後31日以上雇用を継続しないことが明らかでない限り、4/1から雇用保険に加入

2.雇用保険料率の引き上げ 【2010年4月1日施行】

○ 雇用保険料率が0.45%引き上げられました。

《平成22年度 雇用保険料率》
  雇用保険料率 労働者負担 事業主負担
一般の事業 15.5/1000 6/1000 9.5/1000
農林水産・清酒製造業 17.5/1000 7/1000 10.5/1000
建設業 18.5/1000 7/1000 11.5/1000

3.育児休業給付の統合【2010年4月1日施行】とパパ・ママ育休プラス期間の育児休業給付金【2010年6月30日施行】

2010年4月1日以降に育児休業を開始する、「育児休業基本給付金」と「育児休業者職場復帰給付金」を統合した全額(合わせて休業開始時賃金月額の50%)が育児休業給付金として育児休業中に支給されます。
「パパ・ママ育休プラス」(父母がともに育児休業を取得する場合に、取得可能期間を延長する制度)を利用すると、子が1歳2カ月になる日の前日まで(現在は、原則として子の1歳の誕生日の前々日までです)の間であれば、最長1年間育児休業給付金が支給されることになります。【2010年7月1日以降に子が1歳の誕生日を迎える父母が対象です】

4.雇用保険に未加入とされた者の遡及加入の改善【2010年中に施行】(施行日は未定です)

 現在の雇用保険法では、届出漏れなどで未加入とされた者でも最長2年しか遡って加入することが出来ません。しかし、施行日以降は、雇用保険料が控除されていたことが給与明細などで確認出来れば、2年を超えて遡って加入することが出来るようになります。

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