TOP > 扶養加入時の注意点 (労務情報NO.205)
社員に子どもが生まれたり、配偶者が退職した場合は、その家族を健康保険の被扶養者にするための手続きを会社が行うことになります。しかし、被扶養者になるためには様々な条件があり、それほど簡単ではありません。今月号では社員の家族を被扶養者にする時の注意点を解説します。
1.被扶養者とは?
被扶養者とは、健康保険の被保険者(社員)によって生計を維持されている一定の親族をいいます。被扶養者になると、保険料を支払うことなく、被保険者と同じ健康保険に加入することができます。(被扶養者の保険料は健康保険制度全体で負担します)
被扶養者になれる一定の親族とは
条件 |
被扶養者の範囲 |
生計維持 関係 |
配偶者(内縁関係を含む) 子 孫 弟妹 父母などの直系尊属 |
生計維持
関係
+
同 居 |
上記以外の3親等内の親族
(内縁の)配偶者の父母や子
(内縁の)配偶者死亡後の父母や子 |
(図で表すと右の通りです。
出典:全国健康保険協会) |
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2.生計維持とは?
「生計維持」とは、被扶養者になろうとする人(認定対象者)が次の基準を満たしていることをいいます。
被保険者と同居している場合(以下のいずれか一つに該当する必要があります)
@認定対象者の年収が130万円未満※、かつ被保険者の年収の半分未満であること
A上記@ではないが、認定対象者の年収が130万円未満※、かつ被保険者の年収以下で、その世帯の状況を踏まえて
被保険者がその生計の中心であると認められること
被保険者と同居していない場合(同居が条件の被扶養者は対象となりません)
認定対象者の年収が130万円未満※、かつ被保険者からの仕送り額より年収が
少ないこと(同居していない場合、仕送りをしていないと扶養加入はできません) |
※なお、認定対象者が60歳以上や障害厚生年金を受給できる障害者の場合、年収130万円は180万円に読み替えます。 |
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3.年金や雇用保険を受給している人を被扶養者にする場合は?
扶養に加入する場合の年収には、給料の他、年金や雇用保険の基本手当(失業給付)も含まれます。
また、年収130万円未満とは、月額108,333円以下、日額3,611円以下でなければなりません※。
つまり、雇用保険の基本手当の額で、日額3,612円以上を 受給していると、被扶養者になることはできません。
退職を理由に被扶養者になろうと考えている人や年金を受給をしている
人は、まず、自分はいくら収入があるのかを確認する必要があります。 |
※130万円÷12ヵ月=108,333.3円 130万円÷360日=3,611.1円 (ここでは1年を360日で計算します) |
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ただし、自己都合で退職した場合、雇用保険の基本手当は最大3カ月間給付されない(「給付制限期間」といいます)ため、この期間中は被扶養者になることができる場合があります(各健康保険組合にご確認下さい。協会けんぽは被扶養者になることができます)。
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被扶養者 |
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被扶養者 |
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就職 |
給付制限期間 |
雇用保険基本手当受給中 |
失業中 |
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