健康診断に関するQ&A

平成24年4月25日  発行

会社は労働者の健康確保を図るため、常時使用する者について「雇入時の健康診断」および1年以内ごとに1回、「定期健康診断」を実施しなければなりません。近年、過労が原因の脳疾患および精神疾患が急増する中、健康管理を労働者本人に委ねるのではなく、会社が労働者の健康の維持管理や快適な職場環境の形成を行うことが必要とされています。今月号では定期健康診断に関して寄せられる質問をQ&Aで解説します。

健康診断とその後の流れ

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Q1. 「定期健康診断」の費用は会社が負担しなければならないのでしょうか。

A1.労働安全衛生法(以下、安衛法という)により、会社が健康診断を実施しなければならない以上、当然、会社がその費用を負担しなければなりません。

ただし、労働者が会社の指定した医師による健康診断を希望せず、他の医師による健康診断を受けた場合には自己負担としても良いとされています。

Q2. 定期健康診断を受けている間の賃金は会社が負担しなければならなのでしょうか。

A2.定期健康診断を就業時間内に受診させたとしても、必ずしもその健康診断に要した時間の賃金を会社が負担しなければならないという義務はありません。

ただし、通達では、「受診に要した時間の賃金を会社が負担することが望ましい」とされています。

なお、就業時間外に行う場合は時間外手当などを労使で協議することになっています。

Q3.定期健康診断はパートタイマーやアルバイトといった短時間労働者にも受けさせなければならないのでしょうか。

A3. 短時間労働者であっても次の①および②いずれの要件も満たす者には、定期健康診断を行う義務があります。

    • 期間の定めのない契約で勤務している者。
    • 期間の定めのある契約で勤務している者で、
      • 更新により1年以上勤務が予定されている者。
      • 更新により1年以上勤務している者。

    (特定業務従事者
    は6か月以上)


  • ②その者の1週間の所定労働時間数が、その事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

※②に該当せず、①のみに該当する場合であっても「1週間の所定労働時間数が、通常の労働者の1/2以上の者には実施することが望ましい」とされています。

Q4.定期健康診断の受診を拒否する社員への対処はどのようにしたらよいでしょうか。

A4.安衛法では、会社が1年以内に1回、健康診断を行わなければならないとする実施義務および会社が行う健康診断を労働者が受けなければならないとする受診義務が定められています。ただし、労働者が会社の指定した医師による健康診断を希望しない場合には他の医師による健康診断を受け、その結果を証明する書面を提出すればよいこととされています。

労働者がこれらの受診命令に従わず、健康診断が実施されなかった場合、会社側には罰則が科せられることとなります。このようなリスクを避けるためにも、受診命令に従わない労働者に懲戒処分を行えるよう就業規則等に受診義務に関する定めを規定しておくのが得策です。