高額療養費の外来に対する現物給付について

平成24年5月25日  発行

医療機関や薬局で支払った金額が暦月(月初から月末まで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額が還付される制度として高額療養費制度があります。原則的には事後精算による制度ですが、保険者(協会けんぽや健康保険組合)に事前に手続きをすることで一定額を超えた金額を支払わずに済むことができます。これまでは「入院による医療費」に限定されていましたが、平成24年4月1日からは、「外来診療による医療費」についても対象となりました。今月号では、高額療養費制度の概要及び外来(入院)に対する現物給付について解説します。

1.高額療養費制度の概要

同一月(暦日)に同一医療機関(入院、外来、医科・歯科別)、薬局で支払った金額(入院時の食事負担や差額ベッド代等は対象外)が自己負担限度額を超過した場合、保険者(協会けんぽ、健康保険組合)に請求をすれば超過した金額が払い戻されます。

<例>  医療費の総額が100万円(保険者負担70万円+自己負担30万円)の場合(所得区分;一般)

医療費の総額100万円の場合の高額医療費制度の例

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(1)自己負担限度額(健康保険組合や自治体によって額が異なることがあります。

【 70歳未満の場合 】
所得区分 (*1) 自己負担限度額 (*2) 多数回該当の自己負担限度額
上位所得者(月収53万円以上等) 150,000円+(医療費-500,000円)×1% 83,400円
一般 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
低所得者(住民税非課税者) 35,400円 24,600円

(*1) 同一の医療機関等における支払額が自己負担限度額を超えない時でも、同一月の複数医療機関等における支払額(21,000円以上)を合算することができます。

(*2) 直近12ヶ月間に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が下がります。

(2)世帯合算

一人の支払額では高額療養費の支給対象にならない場合でも、同世帯者(同じ医療保険に加入している場合に限ります。
また、被扶養者を含みます)の支払額(70歳未満は21,000円以上)を合算した結果、自己負担額を超えた場合は高額療養費の支給対象になります。

2.外来(入院)現物給付の概要

加入する保険者から事前に「所得区分」に応じた認定証(70歳未満の上位所得者や一般は「限度額適用認定証」、低所得者は「限度額適用・標準負担額減額認定証」)の発行を受け、医療機関の窓口に提示することで自己負担限度額を超える医療費を支払う必要がなくなります。(自己負担額を超える額は、保険者から医療機関や薬局に直接支払われることになります。)

<例>  医療費の総額が100万円(保険者負担70万円+自己負担30万円)の場合(所得区分;一般)

医療費の総額100万円の場合の現物給付の概要の例

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