標準報酬月額の決定について

平成24年7月25日  発行

標準報酬月額は、毎月の健康保険料および厚生年金保険料の決定や保険給付を行う際に算定の基準となる重要なものです。現在、健康保険は58,000円から1,210,000円までの47等級、厚生年金保険は98,000円から620,000円までの30等級に区分されています。今月号では、標準報酬月額の決定および改定の流れについて解説します。

<標準報酬月額の決定および改定の流れ>

判断フローチャート

※画像はクリックすると拡大します。

①  取得時決定  ■入社した際など被保険者の資格を取得したときに決定されます。■

a 月給・週給など一定の期間により定められている報酬については、その報酬を月額に換算した額。
b 日給・時間給・出来高給・請負給などの報酬については、その事業所で前月に同じような業務に従事し、同じような報酬を受けた人の報酬の平均額。
c 上記a、bによって算定することが困難である場合は、資格取得の月前1カ月間にその地方で同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受けた人の報酬の額。
d 上記a~cまでのうち2つ以上に該当する報酬を受ける場合は、それぞれの算定方式で算定した額の合算額。

【適用時期】1月~5月に資格取得→その年の8月まで、6月~12月に資格取得→翌年の8月まで

②  定時決定  ■毎年7月に見直しが行われ、新しい標準報酬月額が決定されます。■

7月1日現在の全被保険者について、その年の4月、5月、6月(支払基礎日数※が17日未満の月は除外する等の条件あり)に支払われた報酬の平均月額を基準に標準報酬月額等級区分にあてはめて、1年間の標準報酬月額を決定します。

※報酬を支払う基礎となる日数(月給制の場合は暦日数になります。)

【適用時期】 その年の9月~翌年の8月まで

【定時決定が行われない人】

  • 6月1日~7月1日までに被保険者となった人
  • 7月~9月までのいずれかの月から随時改定または育児休業等を終了した際の改定が行われる人

③  随時改定  ■報酬の額に著しい変動が生じ、一定の条件を満たした場合、標準報酬月額が改定されます。■

②の定時決定により決定された標準報酬月額は、原則として、次の定時決定まで変更されませんが、報酬の額に著しい 変動が生じ、保険者が必要と認めた場合にはこの随時改定を行います。随時改定は以下のa~cの条件すべてに当てはまる場合に行われます。

a 昇(降)給などで、固定的賃金※の変動があったとき。
b 固定的賃金の変動月以後、継続した3カ月間に受けた報酬の平均月額によって算定した標準報酬月額の等級と、現在の等級との間に2等級以上の差が生じたこと。
c 3カ月とも報酬支払基礎日数が17日以上であること。

※基本給・通勤手当・家族手当など、月単位などで一定額が継続して支給される報酬

④  育児休業等終了時改定  ■育児休業等から復帰した者には特例が認められています。■

育児休業等終了日に3歳未満の子を養育している被保険者は、次の条件を満たす場合、随時改定に該当しなくても、育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4カ月目から標準報酬月額を改定することができます。

a 従前の標準報酬月額と改定後の標準報酬月額※との間に1等級以上の差が生じること。
b 育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月のうち、少なくとも1カ月における支払基礎日数が17日以上であること。

※標準報酬月額は、育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月分の報酬の平均額に基づき算出します。

【適用時期】1月~6月に改定→その年の8月まで、7月~12月に改定→翌年の8月まで