出産及び育児休業に関する保険給付について

平成25年5月25日  発行

平成23年版総務省統計局「労働力調査」において、女性の労働者数は2,237万人と発表されており、今後ますます仕事と家庭を両立した女性の継続就業が増えてくると予想されます。そこで、今月号では出産及び育児休業に関する保険給付の概要を解説します。

産前産後休業・育児休業の一連の流れ(女性被保険者の例)

例)平成25年5月25日出産の場合

平成25年5月25日出産の場合の例

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出産・育児に関する休業には、下記の給付があります。

  • 1.出産育児一時金:健康保険による給付
  • 2.出産手当金:健康保険による給付
  • 3.育児休業給付(延長):雇用保険による給付

1.出産育児一時金

妊娠4カ月(85日)以後の出産(早産・死産・流産含む)に対し、健康保険から出産育児一時金が支給されます。

(1)受給額

1人につき、42万円が支給されます。産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産の場合、39万円となります。また、健康保険組合に加入の場合には、更に付加給付がある場合があります。

(2)受給方法

1人につき、42万円が支給されます。産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産の場合、39万円となります。また、健康保険組合に加入の場合には、更に付加給付がある場合があります。

  • ① 直接支払制度…医療機関と被保険者との間で事前に手続きを行うことで、出産育児一時金が分娩費として医療機関に直接支払われる制度です。
    被保険者は、分娩費用と出産育児一時金との差額分を支払うだけで済むため、事前にまとまった費用を用意しておく必要がありません。また、分娩費用が出産育児一時金に満たなかった場合は、差額が支給されます。
  • ② 直接支払制度を使用しない…① を使用しない場合、分娩費用の支払後、協会けんぽ等に一時金を請求することができます。

2.出産手当金

出産日(実際の出産日が予定日後の時は出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日の範囲で、会社を休んだ期間、出産手当金が支給されます。

(1)受給額

1日につき、被保険者の(※)標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)になります。

※標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)をいいます。

(2)出産予定日より遅れて出産した場合

出産予定日より遅れて出産した場合

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当初の予定日より遅れて出産した場合には、実際の出産日まで(42日+α日)が産前に関する出産手当金の支給期間となります。

 

3.育児休業給付金

子供の育児のために休業をしている期間、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。出産手当金と異なり要件に該当すれば育児休業を行う男性でも受給することができます。

(1)支給額

休業開始時の賃金日額(原則、産前休業前の6ヶ月間の賃金額の合計を180で除したもの)に支給日数を乗じた50%相当額。ただし、支給単位期間中に賃金が支払われた場合は、差額調整された上で支給されます。
また、育児休業給付金の1ヶ月あたりの上限額は平成25年7月31日までは214,650円となります。

(2)支給期間

原則、育児休業開始日から子が満1歳になる日の前日(満1歳の誕生日の前々日)までとなります。
子が1歳の時点で配偶者の病気、保育所に入所できないなどの特別の理由がある場合、6ヶ月を限度として延長することができます。
また、父母ともに育児休業を行う場合、子が1歳2ヶ月に達する日の前日まで支給を受けることができる制度もあります。