海外療養費について

平成25年8月25日  発行

近年、経済のグローバル化による企業の海外進出が増加しており、今後は益々海外への出張者や出向者が増加することが見込まれます。今月号では、出張者や出向者が海外にて診療等を受けた際に、申請により支給される海外療養費についてその概要を説明いたします。

1.海外療養費とは

海外旅行中、海外出張、海外出向時等において、業務外の病気やケガによりやむを得ず現地の医療機関等で診療や手術を受けた場合に加入している保険者(協会けんぽや健康保険組合等)に申請することで、その支払った医療費の一部を受給することができる制度です。

2.支給申請手続きについて

原則として、帰国後に事業主を通じて申請を行います。また、海外から申請する際は、日本の事業主等を経由して行います。

具体的な申請方法については、各保険者指定の申請用紙に現地医療機関で発行された「診療内容明細書」「領収明細書」日本語訳を添付して保険者へ申請を行います。但し、申請用紙への記入方法や必要となる添付書類等は保険者によって異なることがありますので、事前に確認して下さい。

3.支給金額について

海外の医療機関等が発行した「診療内容明細書」、「領収明細書」に基づいて国内の医療機関等で同様の診療や手術を受けた場合にかかる費用を基準に算出した額から、自己負担相当額を差し引いた額が支給されます。

海外の医療機関等が発行した「診療内容明細書」、「領収明細書」
          ↓
      国内での基準額に換算 - 自己負担相当額 = 支給額

また、レートについては、医療費を支払った日の外国為替換算率(売りレート)ではなく、支給が決定された日の外国為替換算率(売りレート)を円換算し、支給額が決定されます。(下図の場合、8月25日のレートで支給額が決定されます。)

【支給対象とならないもの】

  • (1)当初より治療目的で海外へ渡航した場合
  • (2)日本国内で保険適用されていない医療行為等

4.時効について

海外で医療費の支払いをした日の翌日から2年を経過すると時効により申請ができなくなります。

5.留意点

海外療養費は、日本国内での治療費等を基準に支給額が決定されます。従って、現地で高額な医療費を支払ったにも関わらず、実際の支給額は大幅に減額されてしまう可能性もあります。そのリスクを補うため、民間保険(海外旅行保険等)への加入を検討する必要があります。