高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇措置

平成26年10月25日  発行

出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」といいます)では、日本の産業にイノベーションをもたらし、労働市場を発展させるような高い経験やスキルを持った外国人労働者(高度人材外国人)をできるだけ多く受け入れるため、ポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を行っています。今月号では、高度人材ポイント制の概要について解説します。

【高度人材ポイント制の概要とポイント評価のしくみ】

◆通常、外国人の方が日本で働く場合、一定の資格(在留資格)を取得して就労することになりますが、働くことができる仕事の種類や在留期間などにかなりの制限があります。

★高度人材ポイント制とは、下記の3つの活動に応じて「学歴」、「職歴」、「年収」、「研究実績」などの項目ごとにポイントを設けて、その合計点が70点以上に達した場合に高度人材外国人として認定し、在留資格に対する様々な優遇を行うものです。

(それぞれの項目で高い評価になればなるほど、大きなポイントが付与されます)

《高度人材外国人の活動内容》
① 高度学術研究活動

日本の公私の機関との契約に基づいて、研究(の指導)や教育を行う活動です。

⇒具体的には基礎研究や最先端技術の研究を行う外国人研究者が該当します。

② 高度専門・技術活動

日本の公私の機関との契約に基づいて、自然科学または人文科学の分野での知識や技術を要する業務に関する活動です。

⇒具体的には専門的な技術や知識を活かした新市場の獲得や、新たな製品・技術開発を担当する外国人が該当します。

③ 高度経営・管理活動

営利を目的とする日本法人等の経営を行い、または管理に従事する活動です。

⇒具体的には日本企業のグローバルな事業展開などのため、豊富な実務経験を活かして企業の経営・管理を行う外国人が該当します。

【優遇措置の内容】

◆高度人材と認定された外国人の方(以下、「高度人材」といいます)には,次の出入国管理上の優遇措置が認められます。

1.複合的な在留活動を行うことができます。

通常、外国人の方は許可された1つの在留資格のみでの活動しかできませんが、高度人材は、資格外活動の許可や在留資格の変更などを行わなくても、複数の在留資格にまたがる活動を行うことができます。

(例:大学での研究活動と併せて関連する事業の経営活動を行うなど)

2.5年の在留期間が与えられます。

高度人材に対しては、法律上の最長の期間となる5年の在留期間が一律に与えられます。

※この期間は更新することができます。

3.在留歴にかかる永住許可の要件が緩和されます。

永住許可を受けるためには原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要ですが、高度人材としての活動を引き続き概ね5年行った場合は永住許可の対象になります。

※高度人材になってから概ね5年で許可の対象となるため、日本に5年以上滞在した後、高度人材になってもすぐに永住権の申請ができる訳ではないことに注意が必要です。

4.入国・在留手続が優先的に処理されます。

高度人材に対する入国・在留手続や審査について、優先的に早期処理が行われます。

・入国事前審査にかかる申請については、申請受理から10日以内を目途

・在留審査にかかる申請については、申請受理から5日以内を目途

5.配偶者の就労について優遇されます。

配偶者としての在留資格をもって在留する外国人が「教育」「技術」「人文知識・国際業務」に該当する活動をする場合、本来は、学歴・職歴などの一定条件を満たしたうえでこれらの在留資格を取る必要がありますが、高度人材の配偶者は条件を満たさなくても同様の活動を行うことができます。

6.一定の条件の下で親の帯同が可能になります。

通常、就労を目的とする在留資格で在留する外国人労働者の親の受け入れは認められませんが、一定の条件を満たした場合には、高度人材またはその配偶者の親(養親を含みます)の入国・在留が認められます。

7.一定の条件の下で家事使用人の帯同が可能になります。

通常、外国人の家事使用人の雇用は「投資・経営」「法律・会計業務」等で在留する一部の外国人にしか認められませんが、高度人材については、一定の条件を満たした場合に外国人の家事使用人の帯同が認められます。