高額療養費の自己負担限度額の変更について

平成26年12月25日  発行

平成27年1月診療分から、健康保険の高額療養費が改正されます。具体的には、70歳未満の自己負担限度額の区分が、これまでの3区分から5区分に細分化され、より所得に応じた負担割合になります。今月号では、高額療養費の改正内容について解説します。

【高額療養費とは?】

◆同一月(1 日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合に、その一定の額を超えた額が払い戻される制度です。

※医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を医療機関の窓口に提示することで、1つの医療機関における1か月間の窓口での支払いを、自己負担限度額までとすることができます。
なお、70歳以上75歳未満の方は、診療時に「保険証」とお持ちの「高齢受給者証」を提示すれば、「限度額適用認定証」と同様に窓口での支払いは自己負担限度額までとなります。

※差額ベッド代などの保険外負担分や入院時の食事負担額などは、高額療養費の対象外です。

【変更される70歳未満の自己負担限度額の区分】

《平成26年12月診療分までの自己負担限度額の区分》

所得区分 自己負担限度額 多数該当※

①区分A

(標準報酬月額53万円以上)

150,000円+(医療費-500,000円)×1%

83,400円

②区分B

(区分Aおよび区分C以外)

80,100円+(医療費-267,000円)×1%

44,400円

③区分C(低所得者)

(市区町村民税の非課税者等)

35,400円

24,600円

《平成27年1月診療分からの自己負担限度額の区分》

所得区分 自己負担限度額 多数該当※

①区分ア

(標準報酬月額83万円以上)

252,600円+(医療費-842,000円)×1%

140,100円

②区分イ

(標準報酬月額53万~79万円)

167,400円+(医療費-558,000円)×1%

93,000円

③区分ウ

(標準報酬月額28万~50万円)

80,100円+(医療費-267,000円)×1%

44,400円

④区分エ

(標準報酬月額26万円以下)

57,600円

44,400円

⑤区分オ(低所得者)

(市区町村民税の非課税者等)

35,400円

24,600円

※多数該当とは、高額療養費の払戻を受けた月数が直近12か月間で3か月以上あった場合の4か月目以降をいいます。

※区分ア、区分イ、区分Aに該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、区分ア、区分イ、区分Aの該当となります。

※70歳以上75歳未満の方は平成27年1月からも変更はありません。

※健康保険組合によっては、自己負担の限度額が異なる場合があります。

【高額療養費の計算と窓口での負担は?】

例:平成27年1月診療分で標準報酬月額340,000円の場合の高額療養費(「区分ウ」に該当)
1か月の医療費(保険適用分)が1,000,000円、自己負担割合が3割の場合、自己負担額は300,000円になります。

高額療養費が適用された自己負担限度額 : 80,100円 +(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

《限度額適用認定証を提示しない場合》

300,000円を医療機関の窓口で支払い、後日、高額療養費を申請して212,570円の払戻しを受けます。

《限度額適用認定証を提示する場合》

窓口で自己負担限度額 の87,430円 を支払います。(高額療養費の申請は必要ありません)