【都道府県労働局長による指導・公表の対象となる基準】
指導・公表の対象は、次のⅠおよびⅡのいずれにも当てはまる場合です。
Ⅰ.「社会的に影響力の大きい企業」であること
具体的には「複数の都道府県に事業場を有している企業」であって、「中小企業に該当しないもの(※)」であること
※中小企業基本法に規定する「中小企業者」に該当しない企業です。
(例)サービス業の場合は資本または出資額が5,000万円超かつ常時使用する労働者数100人超 など
Ⅱ.「違法な長時間労働」が「相当数の労働者」に認められ、実態として「一定期間内に複数の事業場で繰り返されている」こと
1. 違法な長時間労働とは、
①労働時間、休日、割増賃金にかかる労働基準法違反が認められ
かつ
②1か月当たりの時間外労働・休日労働が100時間を超えていること
※労働基準法違反の例として、36協定を締結・届出せずに法定労働時間を超える労働や法定休日に労働させた場合、
割増賃金の不払い(賃金不払残業)が認められた場合などが該当します。
2. 相当数の労働者とは、
1か所の事業場において、「10人以上の労働者」または「事業場の4分の1以上の労働者」に対して、
1の「違法な長時間労働」が認められること
※上記の基準は、企業ごとではなく事業場ごとに判断されます。
※労働者には、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者や、派遣労働者も含まれます。
3. 一定期間内に複数の事業場で繰り返されているとは、
おおむね1年程度の期間に3か所以上の事業場で、1の「違法な長時間労働」が認められること
※違反回数の算定は、平成27年5月18日以降に判明したものからが対象となります。
【違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表の取り組み】
対象企業には、「都道府県労働局長」が「経営トップ」に対して、全社的な早期是正について「指導」するとともに、
その事実を「公表」するとされています。
※これまでの取り組み(悪質なケースについて労働基準監督官が書類送検した後、その事実を公表)を一歩進めて、
書類送検の前段階で公表する点がポイントになります。
※経営トップとは、本社の代表取締役社長など、経営の執行責任者が該当します。
※公表のしかたは、事実を報道発表することや、労働局のホームページに掲載するものとされています。