健康保険の標準報酬月額・標準賞与額の上限が改定されます

平成28年3月25日  発行

平成28年4月1日から、健康保険にかかる標準報酬月額の最高等級の上に3等級が追加され、上限が引き上げられます。また、年度累計の標準賞与額の上限が引き上げられます。今月号では、この上限改定について解説します。

【標準報酬月額の上限改定】

改定前   改定後
月額等級 標準報酬月額 報酬月額   月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第47級 1,210,000円 1,175,000円以上   第47級 1,210,000円 1,175,000円以上
1,235,000円未満
        第48級 1,270,000円 1,235,000円以上
1,295,000円未満
第49級 1,330,000円 1,295,000円以上
1,355,000円未満
第50級 1,390,000円 1,355,000円以上

※厚生年金保険にかかる標準報酬月額の上限(62万円)に変更はありません。

【標準賞与額の上限改定】

改定前   改定後
年度累計標準賞与額の上限   年度累計標準賞与額の上限
5,400,000円   5,730,000円

※厚生年金保険にかかる標準賞与額の上限額(1ヶ月当たり150万円)に変更はありません。

【標準報酬月額・標準賞与額の上限改定に関するQ&A】

《Q1》

今回の改定で追加された等級は、どのようにして適用されるのでしょうか?

⇒平成27年の定時決定(またはそれ以降の直近の随時改定)において提出されている報酬月額をもとに新しく追加される等級にあてはめ、厚生労働大臣または健康保険組合(以下「保険者等」といいます)の職権で平成28年4月から改定されることになります。従って、会社として新たな届出は必要ありません。

《Q2》

保険者等の職権で標準報酬月額が改定される場合、改定されたことがわかる通知はあるのでしょうか?

⇒対象となる被保険者の方がいる会社に対して、4月中に年金事務所または健康保険組合より改定通知書が送付される予定です。

《Q4》

随時改定に該当し、平成28年4月から標準報酬月額が変わるケースであっても、《Q1》に基づき保険者等による職権で改定されるのでしょうか?

⇒本ケースの場合、随時改定が優先されます。従って、会社として随時改定の届出が必要となります。

《Q5》

改正後の標準賞与額は、573万円を年度の上限としていますが、いつ以降に受けた賞与を累計するのでしょうか?

平成28年4月以降に受けた賞与を累計します。

《Q3》

標準報酬月額が上限に達する場合、1等級の差であっても実質的に2等級の差が生じている場合には、随時改定の対象となりますが、今回の上限改定によってその目安となる報酬月額はいくらになるのでしょうか?

⇒平成28年4月1日以降は1,415,000円以上となる予定です。

標準報酬月額   報酬の3ヶ月平均   改定後の標準報酬月額
第49級 1,330,000円
1,415,000円以上
第50級 1,390,000円

※報酬の3ヶ月平均が1,415,000円以上の場合、2等級の差が生じていると判断され、随時改定が必要となります。