短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の適用拡大について

平成28年5月25日  発行

平成28年10月1日から、特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、新たに厚生年金保険・健康保険の適用対象となります。今月号では、この適用拡大について解説します。

【特定適用事業所】

同一事業主の適用事業所(※1)の厚生年金保険被保険者数の合計が常時(※2)500人を超える事業所が該当します。

※1 同一事業主の適用事業所

実際に事業主が同一であるかにかかわらず、次に該当する適用事業所のグループをいいます。

・法人事業所・・・・法人番号が同じ適用事業所

※2 常時

1年のうち6カ月以上、厚生年金保険被保険者数の合計が500人を超えることが見込まれる場合

【短時間労働者】

週の勤務時間・1カ月の勤務日数が、常時雇用者の4分の3未満で、以下の①~④のすべてに該当する方をいいます。

① 週の所定労働時間が20時間以上であること

週の「所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週に勤務すべき時間をいいます。

(雇用保険の取り扱いと同様です)

[「所定労働時間」が週単位以外の場合]

・1カ月単位で定められている場合 ⇒ 1カ月の所定労働時間を12分の52で除して算定します。

・1年単位で定められている場合 ⇒ 1年間の所定労働時間を52で除して算定します。

・1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合 ⇒ 平均により算定します。

② 賃金の月額が8.8万円(年収106万円)以上であること

週給、日給、時間給を月額に換算したものに、各種手当等を含めた額が、8.8万円(年収106万円)以上

である場合となります。ただし、次に掲げるものは除きます。

[除外対象]

・臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)

・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)

・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

③ 勤務期間が1年以上見込まれること

勤務期間が1年以上見込まれる場合とは、次のとおりです。

・期間の定めがなく雇用される場合

・雇用期間が1年以上である場合

・雇用期間が1年未満である次の場合

・雇用契約書に契約が更新される旨が明示されている場合

・雇用契約書に契約が更新される旨が明示されていないが、同様の雇用契約で1年以上の更新実績がある場合

④ 学生でないこと

生徒または学生は適用対象外となります(雇用保険の取り扱いと同様です)

(大学、高等学校、専修大学、各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)等に在学する生徒または学生)

※ただし、次に掲げる方は、被保険者となります。

・卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方

・休学中の方

・大学の夜間学部および高等学校の定時制(夜間等)課程の方