無期転換ルール(労働契約法)に関するQ&A

平成29年9月25日  発行

平成25年4月1日より改正労働契約法が施行され、多くの会社において平成30年4月から本格的に無期転換への申込みの発生が見込まれます。今月号では、この無期転換ルールについてQ&A形式で解説します。

1.無期転換ルールの概要

無期転換ルールは、同一の会社との間で、平成25年4月1日以降に開始された有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。

現行(改正前)の解説図

※画像はクリックすると拡大します。

2.無期転換ルールに関するQ&A

【Q1】無期転換の申込みがあった場合、いつから転換されますか。

【A1】無期転換申込時の有期労働契約が終了する日の翌日から、無期労働契約となります。
例えば、平成25年4月1日に開始した有期労働契約を反復更新して、平成30年3月31日に通算契約期間が5年となる従業員が、平成30年4月1日から1年間の有期労働契約を締結し、この契約期間中に無期転換の申込みを行った場合、平成31年4月1日から無期労働契約となります。
なお、無期転換申込みをせず有期労働契約を更新した場合、新たな有期労働契約の期間中いつでも無期転換申込みが可能です。

【Q2】同じ会社で働いていて、部署異動により何度か職種や職務内容が変わっている場合、契約期間は通算されますか。

【A2】無期転換申込権は、「同一の会社との間」(法人であれば法人単位)で契約を更新し、通算して5年を超えて勤務した場合に発生します。つまり、継続して同じ会社に勤務していれば、その間に職種や職務内容が変更されたり、A支店からB支店に異動した場合であっても、契約期間は通算されます。

【Q3】無期労働契約に転換される従業員のために、あらかじめ就業規則等を整備する必要はありますか。

【A3】無期転換後の給与などの労働条件は、就業規則等で別段の定めがある部分を除き、直前の有期労働契約と同一の労働条件となります。したがって、無期労働契約に転換された従業員に対して、どのような労働条件を適用するかを検討した上で、別段の定めをする場合には、適用する就業規則にその旨を規定する必要があります。
また、特に定年など、有期契約労働者には通常定められていない労働条件を適用する必要がある場合には、適切に設定のうえ、あらかじめ明確化しておく必要があります。

【Q4】無期転換ルールの対象となる有期契約労働者とはどのような従業員ですか。

【A4】1年や6カ月単位など有期労働契約を締結または反復更新している方であり、一般に契約社員、パートタイマー、アルバイトなどと呼ばれる従業員です。ただし、これらに限らず、会社が独自に位置づけている雇用形態(例えば準社員やパートナー社員など)についても契約期間に定めのある場合は、その名称にかかわらず、すべて無期転換ルールの対象となります。

【Q5】無期転換は書面で申し込む必要がありますか。

【A5】無期転換申込権の発生後、会社に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立します(会社は断ることができません)。この申込みは口頭でも法律上は有効ですが、後々トラブルを防ぐため、書面で行うことをお勧めします。

【Q6】クーリングについて教えてください。

【A6】同一の会社との間で有期労働契約を締結していない期間(退職し、労働契約の存在しない期間=「無契約期間」)が、一定以上続いた場合、それ以前の契約期間は通算対象から除外されます(このことを「クーリング」と呼びます。)。

【無契約期間の前の通算契約期間が1年以上の場合】

・無契約期間が6ヶ月以上あるときは、その期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません(クーリングされます)。

・無契約期間が6ヶ月未満のときは、その期間より前の有期労働契約も通算契約期間に含まれます(クーリングされません)。

【無契約期間の前の通算契約期間が1年未満の場合】

・無契約期間の前の通算契約期間に応じて、クーリングされるかどうか一定の無契約期間が定められています(※)。こちらに該当すれば無契約期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません
(クーリングされます)。

※具体的な期間は厚生労働省HPに記載がございます。