高額療養費制度の改正について

平成30年8月25日  発行

高額療養費制度とは、ひと月に医療機関に支払った額が高額になった場合に、定められた上限額を超えて支払った額を払い戻す制度です。平成30年8月から、70歳以上の高額療養費の上限額が改正されています。今月号では、改正された内容について解説します。

【70歳以上の上限額】

  ○平成30年7月までの上限額   ○平成30年8月からの上限額
  適用区分 外来
(個人ごと)
外来+入院
(世帯ごと)
矢印 外来
(個人ごと)
外来+入院
(世帯ごと)
現役並み Ⅲ年収 約1,160万円~
標準報酬月額83万円以上、
課税所得690万円以上
57,600円 80,100円+(医療費
-267,000円)×1%
※多数回の場合は
 44,400円 (注2)
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
※多数回の場合は 140,100円 (注2)
Ⅱ年収 約770万~約1,160万円
標準報酬月額53万円以上、
課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
※多数回の場合は 93,000円 (注2)
Ⅰ年収 約370万~約770万円
標準報酬月額28万円以上、
課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
※多数回の場合は 44,400円 (注2)
一般 年収 約156万~約370万円
標準報酬月額26万円以下、
課税所得145万円未満等(注1)
14,000円
(年間の上限
  144,000円)
57,600円
※多数回の場合は
 44,400円 (注2)
18,000円
(年間の上限
  144,000円)
57,600円
※多数回の場合は
 44,400円 (注2)
住民税非課税 Ⅱ住民税非課税世帯(注3) 8,000円 24,600円 8,000円 24,600円
Ⅰ住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
(注3)
15,000円 15,000円

(注1)世帯収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円未満)の場合や、「旧ただし書所得」の合計額が210万円以下の場合も含みます。

(注2)過去12カ月以内に3回以上、上限額に達した場合は4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。

(注3)住民税非課税世帯の方については、従来どおり、限度額適用・標準負担額減額認定証が発行されます。

【改正内容の主なポイント】

① 「現役並み」の適用区分を年収に応じて3段階に分け、ⅡとⅢに該当する区分については上限額を大幅に引き上げ

② 「現役並み」のⅠの区分についても、「外来(個人ごと)」の上限をなくして、実質的な引き上げ

③ 「一般」の区分については、「外来(個人ごと)」の上限額を引き上げ

【高額療養費制度について】

同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を提示する方法が便利です。

※限度額適用認定証を提示すると、1カ月(1日から月末まで)の窓口での支払いが原則自己負担限度額までとなります。

【69歳以下の上限額】(今回の改正による変更はありません)

適用区分 自己負担限度額 多数該当
標準報酬月額83万円以上の方 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
標準報酬月額53万~79万円の方 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
標準報酬月額28万~50万円の方 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
標準報酬月額26万円以下の方 57,600円 44,400円
低所得者
(市区町村民税の非課税者等)
35,400円 24,600円