○参考事例 ※昇給が7月で、昇給後3ヶ月は例年繁忙期となり、他の期間に比べて残業代が多くなるケース
年月 | H29.10 | ~ | H30.6 | H30.7(昇給) | H30.8 | H30.9 | H30.10 |
固定的賃金(基本給等) | 250,000 | ~ | 250,000 | 260,000(10,000昇給) | 260,000 | 260,000 | 260,000 |
非固定的賃金(残業等) | 50,000 | ~ | 50,000 | 200,000 | 200,000 | 200,000 | 50,000 |
合計 | 300,000 | ~ | 300,000 | 460,000 | 460,000 | 460,000 | 310,000 |
標準報酬月額 | 300,000 | ~ | 300,000 | 300,000 | 300,000 | 300,000 | ★47万→☆34万 |
※Ⅰ 現在の標準報酬月額 30万円
※Ⅱ 随時改定による標準報酬月額 ★47万円 計算式 7月~9月の合計(46万+46万+46万)÷3=46万
※Ⅲ 年間平均額による標準報酬月額 ☆34万円 計算式 7月~9月の合計(26万+26万+26万)÷3=26万・・・①
①昇給から3ヶ月間に受けた固定的賃金の平均 |
{(5万×9ヶ月)+(20万×3ヶ月)}÷12=8.75万・・・② |
②12ヶ月間(昇給月前9ヶ月と以後3ヶ月)に受けた非固定的賃金の平均 |
26万+8.75万=34.75万・・・①+② |
1.なぜこの年間平均額による届出ができるようになったのか
上記参考事例において、通常の随時改定(月額変更)を行うと標準報酬月額は47万円※Ⅱとなり、平成30年10月の固定的賃金である26万円や従前の標準報酬月額30万と比べて著しく乖離が発生してしまいます。これは7月からの3ヶ月間に繁忙期が重なり、他の期間に比べて多くの残業代が支給されていることが理由です。この様に著しい乖離が生じる場合には、実態に即した標準報酬月額になるように「年間平均額※Ⅲ」での届出ができるようになりました。
2.年間平均額による届出ができる条件
以下 ①~④の全てに該当し、かつ被保険者の同意を得ることで、年間平均額による随時改定(月額変更)の届出ができます。
① 現在の標準報酬月額※Ⅰと、随時改定による標準報酬月額※Ⅱとの間に2等級以上の差があること。 |
② 随時改定による標準報酬月額※Ⅱと、年間平均額による標準報酬月額※Ⅲとの間に2等級以上の差があること。 |
➂ 通常の随時改定による標準報酬月額※Ⅱと、年間平均額による標準報酬月額※Ⅲに生じる差が、業務の性質上例年発生することが見込まれること。(例年特定の時期が繁忙期となる人事異動や決算業務のある人事・経理の部署等) |
④ 現在の標準報酬月額※Ⅰと、年間平均額による標準報酬月額※Ⅲとの間に1等級以上の差があること。 |
※Ⅰ・Ⅱ・Ⅲについては参考事例をご参照ください。
○全ての条件に該当した場合
固定的賃金の変動のあった月以降4ヶ月目から、年間平均額による標準報酬月額で改定することができます。
条件④のみ不該当となった場合は、随時改定は不該当となります。(現在の標準報酬月額が適用されます。)
上記参考事例の場合における平成30年10月以降の標準報酬月額について
平成30年9月以前は通常の随時改定により47万円で改定されますが、平成30年10月以降は、被保険者の同意を得て申し立てた場合、
年間平均額による随時改定により34万円で改定することができるようになります。
○届出・申請用紙の詳細については、今後日本年金機構、各健康保険組合HPにて案内される予定です。