年間平均額による随時改定について

平成30年9月25日  発行

標準報酬月額の随時改定(月額変更)について、平成30年10月改定(平成30年7月に固定的賃金が変動するもの)からは「年間平均額による届出」ができるようになります。今月号ではその内容について解説します。

○参考事例 ※昇給が7月で、昇給後3ヶ月は例年繁忙期となり、他の期間に比べて残業代が多くなるケース

年月 H29.10 H30.6 H30.7(昇給) H30.8 H30.9 H30.10
固定的賃金(基本給等) 250,000 250,000 260,000(10,000昇給) 260,000 260,000 260,000
非固定的賃金(残業等) 50,000 50,000 200,000 200,000 200,000 50,000
合計  300,000 300,000 460,000 460,000 460,000 310,000
標準報酬月額 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 ★47万→☆34万

※Ⅰ 現在の標準報酬月額       30万円

※Ⅱ 随時改定による標準報酬月額  ★47万円      計算式 7月~9月の合計(46万+46万+46万)÷3=46万

※Ⅲ 年間平均額による標準報酬月額 ☆34万円      計算式 7月~9月の合計(26万+26万+26万)÷3=26万・・・①

①昇給から3ヶ月間に受けた固定的賃金の平均

{(5万×9ヶ月)+(20万×3ヶ月)}÷12=8.75万・・・②

②12ヶ月間(昇給月前9ヶ月と以後3ヶ月)に受けた非固定的賃金の平均

 26万+8.75万=34.75万・・・①+②

1.なぜこの年間平均額による届出ができるようになったのか

上記参考事例において、通常の随時改定(月額変更)を行うと標準報酬月額は47万円※Ⅱとなり、平成30年10月の固定的賃金である26万円や従前の標準報酬月額30万と比べて著しく乖離が発生してしまいます。これは7月からの3ヶ月間に繁忙期が重なり、他の期間に比べて多くの残業代が支給されていることが理由です。この様に著しい乖離が生じる場合には、実態に即した標準報酬月額になるように「年間平均額※Ⅲ」での届出ができるようになりました。

2.年間平均額による届出ができる条件

以下 ①~④の全てに該当し、かつ被保険者の同意を得ることで、年間平均額による随時改定(月額変更)の届出ができます。

① 現在の標準報酬月額※Ⅰと、随時改定による標準報酬月額※Ⅱとの間に2等級以上の差があること。

② 随時改定による標準報酬月額※Ⅱと、年間平均額による標準報酬月額※Ⅲとの間に2等級以上の差があること。

➂ 通常の随時改定による標準報酬月額※Ⅱと、年間平均額による標準報酬月額※Ⅲに生じる差が、業務の性質上例年発生することが見込まれること。(例年特定の時期が繁忙期となる人事異動や決算業務のある人事・経理の部署等)

④ 現在の標準報酬月額※Ⅰと、年間平均額による標準報酬月額※Ⅲとの間に1等級以上の差があること。

※Ⅰ・Ⅱ・Ⅲについては参考事例をご参照ください。

○全ての条件に該当した場合

固定的賃金の変動のあった月以降4ヶ月目から、年間平均額による標準報酬月額で改定することができます。
条件④のみ不該当となった場合は、随時改定は不該当となります。(現在の標準報酬月額が適用されます。)

上記参考事例の場合における平成30年10月以降の標準報酬月額について

平成30年9月以前は通常の随時改定により47万円で改定されますが、平成30年10月以降は、被保険者の同意を得て申し立てた場合、
年間平均額による随時改定により34万円で改定することができるようになります。

○届出・申請用紙の詳細については、今後日本年金機構、各健康保険組合HPにて案内される予定です。