勤務間インターバル制度について

平成30年12月25日  発行

2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づいて「労働時間等設定改善法」が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保すること(勤務間インターバル)が事業主の努力義務として規定されました(2019年4月1日施行)。今月号では、勤務間インターバル制度の概要について解説します。

1.勤務間インターバル制度とは

勤務間インターバル制度とは、当日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、
社員の生活時間や睡眠時間を確保するものです。制度を導入する際は、会社の実態にあったルール作りが必要になります。

2.勤務間インターバル制度の運用上の主なポイントは下記①~④となります

① 休憩時間の設定

→休息時間は任意で設定できますが、多くの会社が9~11時間の間で設定しています。

・部署ごとに仕事の特性や通勤事情を考慮して休息時間を設定することもできます。

(例:研究所は10時間、工場は11時間など)

・義務とする時間数と健康管理のための努力義務とする時間数に分けて設定することもできます。

(例:「最低の義務として8時間、目標とする基準は10時間」など)

② 対象範囲の設定

→制度の対象者は、全員を対象にすることが一般的ですが、対象者を限定して運用することもできます。

(例:非管理職に対象を限定するなど)

③ 休憩時間の確保の方法

→休息時間を確保する方法としては、始業時刻を休息時間に応じて後ろ倒しにすることで行うほかに、
休息時間を確保する分の勤務時間を「勤務したものとみなす」ということも可能です。

(例:11時間の休息時間を確保するために始業時刻を後ろ倒しにする場合)

例:11時間の休息時間を確保するために始業時刻を後ろ倒しにする場合の解説図

※「8時~10時」までを「働いたものとみなす」方法などもあります。

④ 会社内における罰則・ペナルティについて

→休息時間を確保できなかった場合の罰則・ペナルティは、設けていない会社が大多数ですが、必要に応じて
「健康指導の対象とする」といった対応を規定している会社もあります。

3.勤務間インターバル制度を導入する場合、勤務時間の取り扱い等を就業規則に規定しておく必要があります

《就業規則の規定例》

① 始業時刻を繰り下げる場合

第○条

1 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

② 休息時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を労働とみなす場合

第○条

1 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。

2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。

(※ 上記以外にも必要に応じて申請手続きや勤務時間の取り扱いについても規定の整備を行って下さい。)